内容説明
イギリスの高貴なる趣味人にして美食家が、南仏プロヴァンスを舞台として語る四季折々にふさわしきメニューの数々、幼少の甘き思い出。ブリニのサワークリームとキャヴィア添え、仔羊のロースト、桃の赤ワイン漬け、そして幾多の種類を誇るキノコを忍ばせたオムレツ…その絢爛たるレシピのあとにあなたを待つものとは?英文学界・料理界を騒然とさせた問題作。ウィットブレッド処女長篇小説賞受賞。ベティー・トラスク賞受賞。ホーソーンデン賞受賞。ジュリア・チャイルド賞受賞。
著者等紹介
ランチェスター,ジョン[Lanchester,John]
1962年ドイツ・ハンブルク生まれ。父親の仕事の関係で各国を転々としたのち帰英、オックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジ卒。『オブザーヴァー』紙でレストラン批評を連載するなど記者、編集者として経験を積んだのち、96年本書でデビュー、英文学界を騒然とさせた。本書は同年のウィットブレッド処女長篇小説賞、ベティー・トラスク賞、ホーソーンデン賞、ジュリア・チャイルド賞など数々の賞を受賞、二十数か国語に翻訳された。2000年には第2作、『フィリップス氏の普通の一日』(白水社)を発表、今イギリスで最も注目される作家の一人である
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感想・レビュー
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KAZOO
148
若干サラ・ウォーターズのまどろっこしい文章を読んだ後ではかなり私は楽しく読めました。私の好きな料理などのうんちくについてかなり書かれていてしかもまとめ方というか奇妙な味の小説のような気がしました。私にはこのような小説はあっていると感じました。2016/07/21
遥かなる想い
141
料理を語りながら、ある新婚夫婦を執拗に追う、偏執的な執念を感じる 作品である。 凄まじい程の 料理の知識に 圧倒されるが …正直 蘊蓄の量の多さに 辟易するが、これも 本作品の特徴なのだろう。 本作品 絶賛の嵐だったらしいが、私には その 良さがよくわからなかった。2019/07/05
(C17H26O4)
44
これは何?旅行記?読めども読めどもストーリーが見えて来ず、戸惑うことしきり。料理に関してとめどなく溢れる蘊蓄に食傷。その上話題が頻繁に脱線して、あれ?何の話だったっけ?と混乱させられっぱなし。この人ただの美食家?なんかちょっと普通じゃないな気が…という漠然とした印象で170頁くらいまで苦労して読み、ようやく明らかになってきた真相。わー、やっぱりやばかったこの人。そう分かって振り返ると、伏線もいくつもあったのでした。最初から読み返したい気がしてくる(当分しないと思うけど)。最後まで読んだら凄さが分かる!2018/05/27
NAO
23
料理の紹介とともに語られる、薀蓄の数々と思い出話。語り手はかなりの食通であるだけでなく、料理家でもあり、プロではないようだが、腕には自信があるらしい。彼の口から流れ出る言葉はよどみなく、彼が語る料理を頭に思い浮かべるだけで、至福の時を過ごすことができる。だが、それは、彼が意図的に仕掛けた幻惑?衝撃のラストに、そういえば、いろんなところで伏線が散りばめられていたのだったと気づく。なんとも奇妙でおもしろい「料理小説」だ。2015/07/10
Apple
20
すごく描写の卓越した、ボリューム感のある小説で、読み終わった後の満足感はとても高かったです。ほぼ全編に渡って、ヨーロッパの食文化をキレキレの美食化主人公が語る内容です。豊かな自然の幸の味わいと彩りが思い浮かぶようなメニューの数々の描写が素敵でした。プロヴァンスなる土地への憧れがかなり募った一方、イギリスがあまりにおちょくられて書かれていてやっぱりそういう立ち位置か、と思いました。ラストの展開が急転直下で驚きますが、グルメ描写の裏に不穏なストーリーが進行していたことにびっくりしました。重厚なクレストブックス2023/01/14