内容説明
若くして結婚した父と母は、娘が生まれるとまもなく離婚。父は離れた町で牧師として新しい家庭を築き、成長した娘は大学生に。そして、運命の再会。父は娘の美しさに目を奪われ、娘は不在だった父の存在そのものに心を奪われる。やがて二人は、近親相姦という暗闇へと落ちていった―。大学生の娘と牧師の父親が、覚めない悪夢のような谷底へと転落した。著者自身の実体験を真摯に綴った、人間存在の根源に迫る衝撃のノンフィクション。
著者等紹介
ハリソン，キャスリン［ハリソン，キャスリン］［Ｈａｒｒｉｓｏｎ，Ｋａｔｈｒｙｎ］
１９６１年生まれ。大学卒業後、ニューヨークの出版社ヴァイキングで編集アシスタントを務める。９１年Ｔｈｉｃｋｅｒ ｔｈａｎ Ｗａｔｅｒでデビュー。小説家の夫、コリン・ハリソンと二人の子供たちとともに現在ニューヨーク、ブルックリンに在住（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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遥かなる想い
182
父との近親相姦を題材にした作品である。 二十歳の わたしが 語る 壊れた家族の日常が 怖い。 父と母とわたしの 緊迫した関係が、渇いた 文体から 伝わる。息が詰まるような描写が 痛々しい。封印した過去が 剥き出しにされ、 わたしは 暗闇の中を ひたすら 彷徨うのだが …おぞましい世界の描写が ひどく透明に 不気味なのだが…最後に感じる 自立の曙光 だけが救いである…そんな印象の作品だった。2019/05/19
藤月はな（灯れ松明の火）
99
本当に起こった事だと知った時、余りの気持ち悪さと目眩で読んだのを後悔した本。小さい頃に絶食してまで女らしさを拒んだ彼女が本当に求めていたのは母への愛だった。その母も祖母の愛の束縛によって愛し方を模索していた。なのに数回しか会った事がない父は綺麗になった２０代の娘に肉体関係と娘の寂しさと後悔に付込んだ支配を求めた。この父が聖職者であるという事実に目の前が真っ暗になります。そして父の再婚相手の長女と仲良くなった彼女が長女から言われた言葉の意味を考えると心底、この父親の自己愛の異常さに嫌悪感しか湧きません。2017/05/20
どんぐり
81
新潮クレスト・ブックスの異色の作品。著者の体験に基づく近親相姦の実話、一人称の語り。両親が一緒だったのはわずか2年。結婚期間は1年にも満たず、最初の誕生日が来る前に離婚。20年ぶりに会った父親。これを読んで真っ先に思い浮かんだのが、「吸血鬼ドラキュラの花嫁」だった。絶対的なパワーをもってコントロールするドラキュラが父親、その花嫁が娘である。娘は抗おうとしても、父親に魅せられたかのようにその手から逃れ出ることができない。「おまえは私の肉と血と魂を与えた。おまえの体で脈打っているのは、わたしの心臓だ。おまえは2015/11/22
metoo
62
【洋子さんの本棚より】父親との近親相姦の事実を赤裸々に綴り公表することの意味が理解できず読了した。父親が牧師であることから、昨年のアカデミー賞「スポットライト」を思い出し嫌悪感が増した。自分の娘の心も体も束縛し強要する父親も理解不能であれば、そこから逃げないで絡みついていた著者も同じく。作家という職業は書かざるを得ない。書くことで解放されるのか。理解者である良き伴侶や子供たちが例え容認した上での本書であっても、洗いざらい書いてしまわないと前に進めない人だと半ば諦めの容認だったのではと想像してしまう。2017/06/04
トムトム
41
ノンフィクション。赤ちゃんの頃に生き別れた実の父親(牧師)に、20才で再会。肉体関係になるというもの。こういう男、いるよなぁと不愉快になります。傲慢でわがままな男らしさ、アメリカ的マッチョ。セックスしたくて屁理屈こねて、それでも思い通りにならないとヘソを曲げて、根負けした女がしょうがなく体を許すけれど何かがすり減っていく。こういう男に限ってヌいた後はゴキゲンで優しくなるのよね。それでさらに女性はすり減っていく。身に覚えのある女性がいたら、そんな男とは別れた方が良いと思います。2021/06/27
