内容説明
大戦終結後、ソ連は大量の日本人を強制抑留し、シベリアの奴隷とした。その中に、五摂家筆頭近衛家、元首相近衛文麿の嫡子、眉目秀麗のプリンス、近衛文隆がいた。果てしなく続く「尋問」という名の苛烈な洗脳。ソ連首脳部はいったい何を目差していたのか。シベリア抑留の真実とは。ソ連崩壊後、ロシア人ジャーナリストにより奇跡的に入手された膨大な新史料による衝撃のノンフィクション。
目次
閣下、あなたは逮捕されました
スターリンは戦争のパイプに火をつけた
ロシアで生まれた日本の貴族
レフォルトヴォ監獄内で逮捕
隣人アバクーモフ大臣
特別会議という名の異端審問裁判所
英雄か、それともスパイか?
バイカル湖に来た文隆
抑留者の実数は百万以上
シベリアの“ヒロシマ”と三十七万人の犠牲者
母上様、幸カ不幸カ、マダ生キテイマス
カーゲーベーの「近衛利用計画」
ロシア遍歴は終局へ
プリンス・コノエを返して下さい
棺を掘り出せ、紙片を取り出せ
著者等紹介
アルハンゲリスキー,V.A.[Arkhangelsky,Valentin Akimovich]
1928年生まれ。作家、ジャーナリスト、ロシア国会専門員。イズベスチヤ紙別冊週刊ニェジェーリャ誌編集長、イズベスチャ紙副編集長、ウズベキスタン国会議員、タシケント市長を歴任
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
若黎
7
図書館本。 なぜ、御曹司がソ連に近いところにいたのか、という疑問がなきにしもあらず。おぞましさ、胸糞悪さが募る内容だった。そして、名もなき多くの人たちも似たりよったりの過酷な日常を課せられていたのだろう。読んでて辛いことばかりだった。2023/08/02
takao
4
近衛文隆はソ連抑留中に死亡。細川元首相は文隆の甥にあたる。2024/02/25
wearnotequal
3
近衛文隆のロシアでの捕虜生活をロシア作家が描く。特に近衛の刑務所長への懇願する文書や妻との手紙のやり取りは当時の状況を克明に記している。公表された数より大量の犠牲者がいた模様。合掌。2015/05/30
駄目男
3
意義深い本でしたね。 あってはならなことが現実に起こる。 シベリアで十一年間の捕虜生活。 決して風化させてはならないことですね。 それにしても膨大な数の悲劇。 私なら心身共に持ちません。 ただ、みなさんのご冥福をお祈りするだけしか出来ませんが。2014/05/18
可兒
3
周囲の環境と大義名分が整っていれば、人間どこまでもゲスになれるという一例。読んでいて胸糞が悪くなるのはソ連批判本に共通する話ではあるが、その原因の半分以上は日本の記述に由来するのが複雑なところ。これで著者が欧米人だったりすれば(東アジア人なわけないので)即座にお前が言うなと突っ込んだのだが、それがなかったのが救いか2010/08/24
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