内容説明
3以上の自然数nに対してXn+Yn=Znを満たすような自然数X、Y、Zはない。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」。17世紀にフェルマーが残した超難問を、数学者ワイルズが1995年に完全証明した。ピュタゴラスに始まる数論、解決のカギとなった「谷山=志村予想」など、数学をめぐる「歴史ドラマ」を、分かりやすく感動的に描いた傑作。
目次
第1章 「ここで終わりにしたいと思います」
第2章 謎をかける人
第3章 数学の恥
第4章 抽象のなかへ
第5章 背理法
第6章 秘密の計算
第7章 小さな問題点
第8章 数学の大統一
補遺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゆ
80
フェルマーの最終定理… ミステリの殺人動機になるくらい有名な数学の問題だけど、日本人数学者の立てた谷山=志村予想と等価で、ワイルズはそちらを証明して最終定理を証明していたことは知りませんでした。やるじゃん、日本人('∇^d)☆!! お話のメインは証明そのものではなく、古代ギリシャから中世、近代、現代と続く数学史なので面白く読めました。完璧な論理を求める数学者たちの情熱に脱帽です♪2020/02/28
yukision
64
数学には必ず答えがあるという「数学の完全性」を基に、数々の数学者が解けない問題に出会うたび新たな数を発見し、そんな仕事の積み重ねが証明の完成につながった。その道のりは長いが、その中に日本人も大きく関わっていたことが驚きと共に嬉しかった。直観に頼る私が苦手なのは当然だと思ったが、そんな私でも一人一人の人生がそれぞれ小説になりそうなドラマチックな逸話で繋がれた構成のおかげで夢中になって読めた。数学好きなら、より楽しめるはず。2021/08/06
クリママ
59
実に面白かった。ピュタゴラスの数論の中から17世紀のフェルマーが提示した超難問を、1995年にワイルズが完全証明した。その経緯を、時代背景、数学者の個人的な物語、数学パズル(補遺で解説されているのも有難い)も交え、大変わかりやすく書かれている。350年もかかったその証明は、何人もの数学者のひらめきを土台にして100ページ以上にも及ぶもので、証明自体には触れられてはいないが(書かれていてもわかるはずがない)、日本人や冷遇されていた女性研究者についても書かれ好感が持てた。訳も良い。数学の美しさに魅了された。2020/01/02
detu
55
数学と呼ばれる教科が苦手で嫌いだった。そんな自分がこんな本を読むとは夢にも思わなかった。率直に言えば長かった、しかしとても面白かった。そもそも、その定理を証明したところで一体何になるのか、無学な私にはそこからのスタートである。この本を読んで数学という学問の認識が変った気もする。数学者を虜にする数のもつ不思議、魅力、法則、普遍性と証明の美しさにあると語る。正直、本書での易しく丁寧な説明でも私にはチンプンカンプンだったが数学史そちらは大いに読み応えがあった。友愛数、帰納法、双子素数など数学用語も面白いものが☆2016/09/19
OGラジオ
42
数学が苦手!ご心配なく、本書は数学の参考書ではありません。3世紀もの間誰も解く事が出来なかった数学の超未解決問題に数々の天才達が挑んだ栄光と挫折と苦悩、その先にワイルズが完全証明に至るまでの壮大なミステリーまさに奇跡の物語、難しい数式や専門用語は飛ばして良し!大事な事はこの超難問を最終的に解いたのは確かにワイルズですがその成功は過去の偉人達の功績の上に成り立っているのです「私は本書を読む事でそのドラマに於いて真に驚くべき真相を知っていますが残念ながら文字数制限によりそれらをここに記載する事は出来ない・・」2024/10/16