イギリス新鋭作家短篇選


目次

95.7.25

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

101
1990年代の英国で新鋭と見なされていた作家たちの傑作選。独創的な短篇ばかりで、読むのが楽しかった。日本でも長編が訳されているハニフ・クレイシの「エイト・アームズ・トゥ・ホールド・ユー」が一番の好み。ビートルズと共に成長したクレイシのポップ・ミュージック賛歌で、そうそう、その通りといたく共感して読んだ。私も英国のポップ・ミュージックが好きで、今でも聞き続けているからだ。英国では見下されている階級の青年たちが生みだした音楽が、英国社会を変えていく魔法が鮮やかに描かれている。2018/02/18

やまはるか

6
訳者柴田元幸氏40歳、5人の若い作家の意欲的な作品を取り上げている。高速道路出口で「最後の標識と退出路のはじまりとの間の間隔がどう見ても長すぎた」ために尺度の感覚を失ってしまう。「尺度」ウィル・セルフ 石造建築のように固いケーキを「スライス不可能な代物で、かくしてそれはどっしりとした身に可能性はたたえてはいるものの現実的諸条件において具現化不可能なまま、豊かな観念として厳然とそこに残っていた」山羊の咀嚼を「唇は陰険な陰口叩きの口みたいにもぞもぞ動いた」キャンディア・マックウイリアム 若書き的楽しさ満載 2020/03/29

じゅん

3
★★★☆☆『エイト・アームズ・トゥ・ホールド・ユー』『裁判当日』『血のさまざまな色』がおもしろかった。キャンディア・マックウィリアムがいちばんかな。静的な淡々とした語りが心地よく、セピア色の風景写真のような描写と回想がうまくマッチしていた。ハニフ・クレイシのビートルズ評はおおむね同意。冒頭でフランク・ザッパが出てきてうれしかったです。ティボール・フィッシャーはウィットのあるひねくれた叙述が好み。ウィル・セルフが目当てだったのだけど、さすがに理解不能で笑った。でもこの人マジで薬やってるから、しかたないか。2015/12/08

ハルトライ

3
どの短編も一定ラインを超えて面白いものだったが、特にウィルセルフの「尺度」がなかなか良かった。この、最後の最後、一文でくすりと笑ってしまうあたりがなんとも。他、「エイト・アームズ・トゥ・ホールド・ユー」や「ボスニアン・アルファベット」も気になったが、小説っていうよりは評論に近い内容だったり、解説に載っていた長編の冒頭はあまり感心しなかったりで、結果、この本は、ウィル・セルフを知れたのが収穫だったかなと。2014/12/16

t78h1

2
ハニフ・クレイシ「エイト・アームズ・トゥ・ホールド・ユー」、ローレンス・ノーフォーク「ボスニアン・アルファベット」、ウィル・セルフ「尺度」、ティポール・フィッシャー「裁判当日」、キャンディア・マックウィリアム「血のさまざまな色」の5編の短編がおさめられている。解説では、訳も担当した柴田元幸が各短編の解説とイギリス文学史の短い紹介を書いている。2010/10/31

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