内容説明
広大無辺のロシアを国際的なスタージャーナリストが時間と体力の許す限り駆け歩いた旅の個人的な報告。
目次
1 最初の出遇い
2 鳥瞰図から
3 続きは進行中
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
羊山羊
18
ロシアの辺境を旅して、その情景を活写する圧倒的ルポ。自然主義的な瑞々しい情景描写が読み物としての魅力を引き立てる一方で、「ロシア的たるもの」を読者にまざまざと叩きつけてくる。それが本著中では「現在ある現実に合わせる力」「ラーゲリによって培われた不必要な残虐性」にあると見る。現在のウクライナ侵攻においても特徴的ではないだろうか。 旅行記として読むと、大陸横断列車を通じ、辺境を巡る著者は活き活きとしているが後半に連れモスクワに近づく度筆致はどんどん息苦しく、血生臭くなってくる。息の詰まる1冊だ。大満足でした。2022/11/17
hutaketa
3
[ぼくは人間のなかのラーゲリについて書く]理想と現実、輝ける帝国と飢える辺境、最高会議と寒々とした住宅の夜…ソビエト連邦は二重に存在している。それは広大な帝国の領土とそれを覆う雪原の関係に似ている。カプシチンスキはどこにでもあるどこにもない世界を描きたかったのかもしれない。曖昧で謎めいた世界の横顔たちから、「見えない都市」を連想した。2010/12/12
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
2
掘り出し物。旧ソヴィエトを「帝国」に見立て、その帝国の辺境の今を観察する。ポーランド人の視点から、ロシアの外の「帝国」がどう見えるのか。アゼルバイジャンとアルメニア、グルジアといったコーカサス一帯は、昔も今も複雑で謎めいており、危険で、混沌として、近寄りがたい。これらのレポートには大きな価値がある。「中央アジアの北朝鮮」化する直前のトルクメニスタンや、ウクライナの大飢餓、コルイマーの極寒ラーゲリなど、触れられること、知られることを拒む土地の記憶に、著者は静かに忍び寄る。ユーラシアの地図必携。2021/05/15
maja
2
カプシチンスキと離れ難くなってきた。 2017/11/16
橋川桂
2
訳者注釈が詳細過ぎ、と思ったら、工藤幸雄さんか。2017/03/25