内容説明
耳を澄まし心を開けば、見えないものが見えてくる。目はよく見えないけれど優れた聴力と観察力を持った少年は、族長の弟とともに「水の国」をめざし旅にでる。森の奥深くで少年が見つけた限りない世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Chie
6
再読。 忘れていた、素晴らしい物語。 自分を知ること。自分を信じること。 家族を、一族を誇りに思うこと。 「朝の少女」よりも冒険がある分、またぐっとひきこまれる。 水の国、行ってみたい。2019/08/19
inarix
6
自然と同化して生きる民族、村の少年たちが大人として認められる為に必要な通過儀礼。そして、親元から離れる初めての旅。 誰にも話したことのない、本当の願い。 村の共同体のなかで、大人として扱われはじめ、名前を得ながらも、そのことに戸惑いを感じるネイティブ・アメリカンの少年を大きく成長させる冒険を描いた、『朝の少女』『森の少年』に続く小説。 2014/10/23
本おや店主
4
中学生の時に『朝の少女』を読んで衝撃を受けて以来、マイケル・ドリスさんが気になっていたのですが、久々に彼の著者に巡り合ったので読んでみました。 表現が良かったです。あと、人の心のあまり良くないけれども、かと言ってどうしようもないだろう暗い部分も書かれていて、色々考えさせられました。 が、ネーミングセンスなど含め、やっぱドリスさん良いなあ!という結論に。 『森の少年』以外にあと一作あるようなので、ぜひ読んでみたいと思いました。2011/03/07
うにこ。
2
切実な願いを持つ少年と、もっと切実な願いを持つ老人の通過儀礼の話。世界を潜り抜けて別の世界に到達して、魅せられはするものの、戻ってこられる者と戻ってこられなかった者。そしてその後ろにいる、魅せられず、取り戻せなかった者。相変わらずの純粋で、残酷で、美しい族長の心を刻み付けられるような物語。2011/07/09
タリコ
2
アメリカ・インディアンのイニシエーション、そして水の国を目指す冒険の終わりに<木の陰を見る>が目にした、<灰色の火>と<カワウソ>の物語。大人には、抱えている秘密があるのだ。2010/05/07