極北の動物誌

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  • サイズ B6判/ページ数 206p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105235017
  • NDC分類 482.539
  • Cコード C0045

内容説明

カリブー、ムース、オオカミらが危ういバランスの上で織りなす極寒の地の生態系―。『沈黙の春』が人類による自然破壊に警鐘を鳴らそうとした1960年代初め、アラスカの大地を核実験場開発の脅威から守り抜き、そのため故国アメリカを追われた動物学者がいた―ウィリアム・プルーイット。極北の大自然と生命の営みを、詩情溢れる筆致で描き、自然写真家・星野道夫が遺作『ノーザンライツ』の中で、尊敬の念をこめて「アラスカの自然を詩のように書き上げた名作」と評した幻の古典、初の邦訳刊行。

目次

旅をする木
タイガの番人
ハタネズミの世界
ノウサギの世界
待ち伏せの名手
狩の王者
カリブーの一年
ムースの一年
ムースの民
生命は続く
ホームステッド
にわか景気
未来の展望

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hnzwd

16
極北に生きる動物の生態を伝える、と思わせつつ、表現が綺麗で詩集を読んでいるような気持ちに。正確な行動学というよりは詩的な表現を楽しむことができる本として、完成されています。その分、最後の「未来の展望」は、、必要なことなんでしょうが。うーん。あとがきで良かったんじゃないかな。2023/08/27

no.ma

14
星野道夫が宝物のように大切にしていた、アラスカの自然を物語のように書き上げた名作です。始まりの章である「旅をする木」は彼の本の題名にもなっています。ハタネズミ、ノウサギ、オオヤマネコ、オオカミ、カリブー、そしてムース。極北の厳しい自然の中、果てしなく続く動物たちの生と死のドラマにため息が出ます。コロナ禍の生活とは違う、もう一つの時間が流れていると想像するだけで癒されます。しかしこの貴重なタイガの生態系を破壊しているのは人間です。他人事ではなく、我々の生活そのものが地球温暖化につながっています。2020/10/27

ボル

11
1967年アメリカで出版された書を全訳したもの。星野道夫がプルーイットと本著のことを「旅をする木」や「ノーザンライツ」で紹介されている。影響を強く受けた様子は星野さんの書き方とよく似ている点からも窺える。登場する動物はアカリス・ハタネズミ・ノウサギ・オオヤマネコ・オオカミ・カリブー・ムース・トガリネズミ達である。本著を読むと、見事に生態系が維持され続けてきた様子がわかる。レイチェルカーソンの「沈黙の春」が1962年に出版されたので、時期が非常に被る。アラスカが破壊されていく前の世界が描き出されている。2019/07/06

ぱせり

11
アラスカを舞台に歌い上げた美しくて圧倒的な命の叙事詩。人間の預かり知らない遠い最果ての原野の命のサイクル。残酷で神聖な詩でした。この叙事詩の一部として、生きもののサイクルの中にわたしたち人間も入っているのですよね。人間の果たすべき役割は、破壊者ではないはずですよね。2011/01/03

booklight

10
極北の動物たちのディテールを書くことで、壮大なドラマを紡いでいる。動物たちの奇妙な行動の科学的な裏付けと、その美しさと自然の厳しさを同時に読める稀有な本。星野道夫が書いていた「同じ世界、同じ時間にその動物が生きている、と思うだけで」という話を思い出す。最初はとっつきにくいが読み始めると、いつまでも続いてほしいと思ってしまう。久しぶりに良い本を読みました。2017/12/12

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