内容説明
いまなお鋭く告発しつづけ、21世紀へと読み継がれた古典。待望の新装版。
目次
明日のための寓話
負担は耐えねばならぬ
死の霊薬
地表の水、地底の海
土壌の世界
みどりの地表
何のための大破壊?
そして、鳥は鳴かず
死の川
空からの一斉爆撃
ボルジア家の夢をこえて
人間の代価
狭き窓より
四人にひとり
自然は逆襲する
迫り来る雪崩
べつの道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Uzundk
16
古典と言うことで。薬品そのものの恐ろしさももとより、戦中戦後の時代が如何に自信に満ちあふれていたのかと言うのが分かる。自らの手で自然を御せるのだと信じていたからこその濫用であるのだと強く感じた。自己中心的な考えは世界が凶暴な力の均衡の上に成り立っているのであるという教訓で学びつつある。大胆さは人間の美点ではあるが、同時に身の程を知ると言うことのバランス取りがむずかしい。中身については現代なら認識されていることではあるが、まさに今の現代を作るのに多くの貢献を果たした著者に感謝。2016/09/26
明るい果物
15
読み始めから終わりまで半年ぐらいかかった…!こういう環境に関する本を読むと毎回、人間に生まれてすみません、次は植物になります、て思う。毒、私は呼吸・注射・口からの摂取とかで吸収されると思ってたけど、毒に手を浸すだけで人間が死ねるとは初めて知った。そんな猛毒を、虫を殺したいからといって飛行機で散布する。虫以外の人間にも、動物にも、植物にもかかる。殺虫剤なんてものはなく、生きるものすべてを殺す《殺生剤》なんだなあ、と読んでいて思った。アブラムシとかはキモいけど、今度からは薬じゃなくテントウムシ拾ってこよう。2016/03/24
フロリゲン
12
半分ほど読んだが断念。1950年代のDDTほか有機化合物散布によるアメリカの被害を淡々と書き連ねている。DDTは生物選択性が全くなくあらゆる生命を破壊し、安く手間のかからないDDTにより高い代償がつくと述べている。しかしこの本でもDDT他の散布による被害の全貌を明らかには出来ていない。当時DDT被害に関する研究費がほとんどなく、そしてDDTを検出するには高度な精密機械とその技師が必要だったからだ。そしてDDT散布前のデータも取れておらず、当たり前を記録することの大切さも教えられる。2015/07/10
ニッポニア
10
事実のほどはわからない。人が死にすぎる。本当なのだったらまったくとんでもないことがなされていたんだね。それでも古典として読むべき本であることはわかる文章の質。含まれた意味の多さ。2014/12/23
GASHOW
9
「沈黙の」とは、「無言の帰国」のときの無言と同じことだということがわかった。鳥のさえずりが聞こえない、鳥が滅びてしまった春のことだった。人類が細菌や化学物質の存在を知り、害虫を駆除しようとしたときから生態系の破壊がはじまった。多くのそれは、駆除したい虫の繁殖を抑えていた生物を殺してしまっていた。食物連鎖の中で化学物質の生物濃縮が、害虫よりも鳥を殺す。この本の影響でDDT等の使用禁止の法案などができたというから価値のある本なんだと思う。2015/06/19