出版社内容情報
少年が熊と間違えて殴り殺したのは、父の愛人だった! 偶然と暴力に翻弄されつつ各地を逃亡する、料理人とその息子。ハートフルで壮大な最新長篇。
内容説明
ニューハンプシャーの山あいの小さな林業の町に暮らす、料理人とその息子。ある夜、寝室から漏れるただならぬ呻き声を聞いた息子は、父親が熊に襲われていると思い込み、ベッドの上の何者かをフライパンで撲殺してしまう。それは父の愛人であり、悪いことに町の悪辣な治安官の情婦でもあった。そして二人の逃避行が始まる―。構想20年!半自伝的大長篇。
著者等紹介
アーヴィング,ジョン[アーヴィング,ジョン][Irving,John]
1942年アメリカ、ニューハンプシャー州生まれ。ニューハンプシャー大学、ウィーン大学等に学ぶ。65年よりアイオワ大学創作科でカート・ヴォネガットに師事、レイモンド・カーヴァーとともに後進の指導にあたる。68年『熊を放つ』でデビュー、78年に発表した『ガープの世界』が世界的なベストセラーとなる。映画化された『サイダーハウス・ルール』では自ら脚本を手がけ、アカデミー賞最優秀脚色賞を受賞。他の作品に『ホテル・ニューハンプシャー』『第四の手』『また会う日まで』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
63
ニューハンプシャー州コーアスの丸太流しの地。丸太流しをしていた少年が川に落ち、不穏な雰囲気で話は始まる。出だしが暗く、最初からこれは何かよくないことが起こる話なのだなと思ったとおり、事故が起き、ダニエルの逃亡生活が始まる。アーヴィングファンにはお馴染みのモチーフが散りばめられており、それもまた楽しみにして、下巻へ。 2022/04/13
マリカ
29
プロットからディテールから何から何までおもしろすぎます。読んでいると行間という行間からアーヴィングが私に向かって手を振ってニヤニヤしているのが見え、彼に遊ばれているような気がするのは私だけでしょうか。アーヴィングが待っているので、とにかく下巻へ行ってきます。2012/04/07
ぱせり
13
ぽんと飛んで、少し引き返したところからゆっくりと追いついてきて…の文章が徐々に心地よくなってきた。一人をさすとは思えないたくさんの呼び名が代名詞代わり(?)の不思議な感覚にも慣れてきた。のっぴきならない事態なのに、明るい全うさが漂い、このままで…と祈るが、緊張が高まってきて下巻!2012/05/17
duzzmundo
9
ずいぶんと久々のアーヴィング。相変わらずの主人公の誕生からずっと人生を追っていくスタイル。必ず巻き起こるユーモアのある歪な悲しみ。主人公の息子にまた子供産まれーーという感じで彼らを取り巻く人生が描かれていきます。アーヴィングはヴォネガット実際に学んでいたらしいですが、作中にもヴォネガットか出てきたのには驚きました。アーヴィング、なんかそういうのやらなそうな気がしてたので。最初に構成考えて書かないらしいですが、こうして毎回、おもしろい長編を書けるのはほんとにすごいなあと。続いて下巻へ。2023/06/20
るんるん
9
凄いな。登場人物のたくましさが女性も男性も。精神的にも肉体的にも半端ない。2012/07/10