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内容説明
都会を捨て、アマゾンの密林のなかで未開部族の一員となるユダヤ人青年…。語り部に転生した友人を追いながら、不幸な国ペルーの現実を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saeta
9
導入のフィレンツェの挿話から、エンディングまで、見事な構成だった。一部聞きなれない単語や部族の名前など躊躇した箇所もあったが、全体に読み応えのある作品であった。アフリカやアジアではなく南米でなければ成立しない小説だった気がする。文明人と未開人との対立軸で捉えてしまうと途端につまらなくなるが、便利な家電製品に囲まれて日々快適に暮らしている文明人も、厄介な事柄も多く、実はそんなに幸せではないように思うし。密林に分け入り語り部の道を選んだユダヤ人の青年のイメージがいつまでも脳裏に焼き付いていきそうだ。2016/08/22
cochou
3
15年前にリョサの小説を集中的に読んだ時期は印象が薄かった。読書会のために再読し、ジャングルの語り部の奇想天外な語り口を何とか飲み込んで行くうちに理解が深まる。「やしの酒飲み」の読書体験が役立った。顔の痣という美醜・差別の問題、ユダヤ人の社会と宗教と父子関係の変質、社会正義と開発、大学を頂点とする知識人の功罪、テレビの現実と啓蒙の可能性等多彩で重厚なテーマが展開される典型的な近代小説と、自由奔放に変身を繰り返す密林の語り部の対比が凄い。
ばあとるび
3
未開民族と近代社会はどう付き合っていくべきか。一見彼らを保護する側に思える文化人類学者や民俗学者にも近代社会側では正義とされるような文化的暴力がある、という未開民族問題に顔に痣を持つユダヤ人の青年が飛び込む。語り部が神話を織り交ぜながら世界を語るパートでその民族の思考というか世界の捉え方がわかるんだけど、なんともまあダイナミックでかつ柔軟。世界が崩壊してもこの人たちはあっさり受け止めちゃうだろうな。なんたって風邪引いただけでも神話混じっての大騒ぎだもの。2011/06/13
tekesuta
0
語り部の部分がものすごく上手い。不思議の神話を聞いているようだ。 2011/05/09
yami
0
○2010/05/24