感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
38
いやぁー、この古書は読み方がどうにも感じ取れるものと思います。 それぞれの主人公が自分はどうなのかを問う、 ストーリー性にある娯楽的に読むのか、はたまたちょっぴり哲学的に読むのか。 そういう意味では面白くないのかもしれないが、面白い。 メドューサやペガサスも出演してますが!2025/03/25
pyoko45
10
恐るおそる読み始めたけど、全くの杞憂。とても面白かった!「誰が」「誰に」「何を」を常に意識することを要請する凝りに凝った語り口には翻弄されっぱなしだが、決して読者を置き去りにするわけではなくそこは愉しい泥濘の中。二転三転する仕掛けに満ちたストーリーをただただ楽しんだ。周到に語り直され作り変えられ折り返されるペルセウスの、ベレロフォンの、そしてドニヤザードの物語は豊穣で皮肉で猥雑でありながら、少し切なく。そして美しい。2017/02/19
ミムロ犬
6
ボルヘスが創作=オリジナル性という幻想を笑い飛ばしパロディによる無尽蔵の創造性を見せつけたように、彼を敬愛するジョン・バースもまたポップで重量級なパロディストとしてギリシア英雄神話の世界の広がりを飛躍させる。ペルセウスとベレロフォンの己の英雄譚の再演(パロディ)とその語りは、あり得たであろうもう一人の自分を生み出す。(とくにペルセウスのそれはギリシア神話愛好家にとっては感涙ものだ。)彼らの再演は読者のもう一人の自分の可能性をも夢想させる。まさしくポストモダンの大ボスの名にふさわしいメタフィクションの騙り!2018/01/31
egira_mu
4
全米図書賞受賞作。千夜一夜とペルセウスはわりと綺麗に終わったものの、ベレロフォンがとんでもなく混乱していた。自家中毒というか自意識過剰というかこれで良いのか?という気もしたけども、バースはサービス精神旺盛なので結局全部楽しく読めた。解説にあるような『作品を読み解くレベル』でも読んでみたい。いつか。とにかく娯楽作品として非常に楽しめたのでオッケー。2019/02/14
あかふく
3
物語が書かれることへの意識(作者の意識、「メタな」)が強いジョン・バースがその物語が生産される仕方へ注目するのは当然である。ここでは二つの基礎が問題にされる。一つは物語が何に基づいて語られるのか、もう一つは物語は誰によって語られるのか。そのレベルを混同させながら語られているこの物語は読者(ー作者(本))の属する「現実」のレベルを巻き込み参加を要請する。それが本書の円環の形象に結実する。その反復。「キマイラ」とは『キマイラ』である。本は、文字はどこに属するのだろうか?2014/06/19
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