新潮・現代世界の文学<br> 黄金探索者

新潮・現代世界の文学
黄金探索者

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  • サイズ B6判/ページ数 373p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105106119
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

黄金への夢に憑かれ一生を空費した祖父への熱い思いを、虚構の形を借りて描く一族の叙事詩。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

長谷川透

13
少年が夢見、憧れ、追い求めるもの、彼が探すのは一先ず黄金という名で具現化されたもので、彼が少年期に過ごしたモーリシャスの島の憧憬なのだろう。しかし少年が青年に至るまでの歴史の中でかつての帝国は戦争の果てにかつての植民地を失い、少年の故郷でもあり、本国に住む国民にとっては楽園でもあった島々は、それぞれが独立を勝ち得た結果、異国へと化してしまった。かつては存在したが結局のところ今は存在しないが、それを求めて止まない人もいる。彼らの心を駆り立てる黄金伝説は、かつての帝国を羨望する人々をも夢中にするかもしれない。2014/01/01

nranjen

4
白人でありながら、帝国主義支配側ではなく、土地や原住民とともにある立場、それも自然に、一人の人間としての謙虚さを貫くル・クレジオの姿勢が反映されている気がする。社会の底辺の貧しさが、こんなにも豊かな世界を展開する。どんなスケールの大きなスペクタルが展開されているのだろう。大自然を想像のフルスクリーンに映し出しながら読み進めた。時折挿入される深い洞察がはっとさせられる。ラストがあまりに悲しくて愕然となる。でも人生そういうもの…2017/08/01

メイロング

2
えっ、ウーマと一緒になるんじゃないの? だがアレクシスは探索者であって、発見者、獲得者ではないのだと納得してしまう。一章の濃密なブーカンの森の描写、そして三章の海の描写もさることながら、ウーマ登場から読書スピードが跳ね上がる。ウーマがかわいい! タイトルの「黄金」の意味合いが、ブーカンの幼年期であり、ロドリゲス島の黄金であり、またウーマであり、戦場の栄えある死でありと変転していく。これがル・クレジオの変奏なのか。文学的な難解さはなく、物語やキャラクターが際立っている。しかしウーマかわいいな。2012/05/24

Mark.jr

1
著者の一族に着想を得たという一連の作品の一つです。これらの作品群は、元々モーリシャス島の出身である一族の歴史を元にしているため、著者の詩的な文体による海の描写が最大の読み所の一つですが。父方の祖父をモデルにした本書は、大海原に対する憧憬の感情が、作品に神秘性を与えています。2020/11/30

海野藻屑

1
身体が美人を求めるって感覚わかるなあ。理性とかじゃなくてもっと賢明なもの、本能で求めるのだ。2017/11/14

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