内容説明
海を渡り、まだ見ぬ父の住むアフリカのオニチャに降り立った十二歳の少年世界の果て、すべてを呑み込む地で彼がみたものは―。記憶のなかの甘美な宇宙に息を吹き込んだ自伝的長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
micamidica
5
須賀さんの書評を読んで気になって。ナイジェリアのオニチャで過ごした1年を慈しむように綴られた自伝的要素の強い小説。オニチャに着いて早々の嵐の場面や、出産の場面など、その場に居合わせたかのような気にさせられた。自然の描写も美しく、おもしろい展開があるわけではないけれど惹きつけられる物語でした。それにしてもアフリカについて知らないことが多すぎる。オニチャの土は赤いのだな、と妙に印象に残った。2017/02/07
Risa Shimowada
4
白人のセンチメンタル。何の話だか見えず、構成も間延びしており、何度読むの止めようと思ったことか。後書きで自身の想い出話ということで納得。部分的にはアフリカの良さ深さが垣間見れたが全体としては好きではなかった。翻訳の違和感は無かったが後半はロジックが無さすぎる記述が増えてはあ??となるところが多かった。黒人の肌色に関する記述は多々あったが主人公親子の肌色についての記述はほぼ無く、何色なんだろうか?と中盤まで分からなかったが自分たちの肌色が世界の中心なんだろうと思ったり。ストレスの溜まる読書だった2021/09/03
Maumim
3
池澤夏樹のレビューを読んで、読もうと思っていたもの。 フランス文学だなー。 読むのに集中力を要するので、列車の中とか、休憩時間とかになかなか読めない。 東アフリカとは異なる西アフリカの熱帯の風景が、郷愁をもって、美しく描かれていて、わたしも帰りたくなる。 ケニアに。 幼いころに出会ってしまうアフリカの印象は、また、大人の見たアフリカとはまったく違って、ひとつの物語に結実するのだなあ。2015/08/16
AnoA
1
★★★★★ル・クレジオ、初めて読みました。すごく感覚が合うように感じられ、すいすい読めた。太陽、赤い土、大河。古代それらを崇めた人々、今もその世界観のもとで生きる人々、神々と祖先とをつなぐ顔に刻まれた印、半ば夢うつつそれらに焦がれる人、一方それらと断絶した世界で植民地経営をする層の人々、少年フィンタンが生きたオニチャ。マオ、ジョフロワ、オーヤ、ローズ。すべての視点が断片的な構成で並べられ、何とも心地よい。ル・クレジオ、他にも読んでみようと思いました。2017/05/25