内容説明
宴席に供されたのは、腹心だった将軍の丸焼き。荷船もろとも爆沈、厄介払いした子供は二千人。借金の形に、まるごと米国にくれてやったカリブ海。聖なる国母として、剥製にされ国内巡回中のお袋。だがお袋よ、ほんとにわしが望んだことなのか?二度死なねばならなかった孤独な独裁者が、純真無垢の娼婦が、年をとりすぎた天使が、正直者のぺてん師が、人好きのする死体が、運命という廻り舞台で演じる人生のあや模様。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
89
底本がちくま文庫の『エレンディラ』と集英社文庫の『族長の秋』である事に衝撃を受ける。両方とも文庫本で所持、読破していたからである。なお、内容は一切忘れていた模様。大丈夫か六点の知能。初出年が近い物を合わせた為、このように編集されたそうである。 『百年の孤独』の直後に読み始めた為、マルケスの文章の奔流に押し流されまくった時間を過ごした訳であるが、イメージの狂瀾は視点や話者が頻繁に入れ替わる本作の方が激しく感じた。いずれ再読したくなるに違い無い。2024/08/11
ちまりん
19
愛と孤独と死。やはり一貫したテーマだった。文学において、秋とは衰退を意味する。老いて死にゆくイメージ。本作品においてもそのテーマは色濃いと思う。耄碌した独裁者。彼は全ての独裁者の象徴である。冒頭から常につきまとう老人の孤独な死のイメージがとても皮肉に感じられた。2015/02/05
ネムル
16
マザコンでKYのかまってちゃん・こまったちゃんという独裁者像を上手く掴めればブラック・ジョークとしてなかなか面白いのだけど、エピソードの一つ一つが派手で濃ゆいかというと、そうでもないような。「まじめな顔で冗談をいうところが、わたし好きよ」(エレンディラ)と、『百年の孤独』のような不思議なマジメ文体を離れようとしてだろうが、ちょっと物語の起伏を出してエモいところは必ずしも好みでない。すごい勢いで死者たちが憑依し続けるイタコ文体のようなところは惹かれるのだが。2014/10/15
若布酒まちゃひこ/びんた
13
この小説はこの世でいちばんすごいと思ってる。2015/03/04
funuu
10
己の肉体の裏切りくらい人間にとって屈辱的な不当な罰はない。スターリン、毛沢東も、こんな感覚で死んでいったんでしょうね。2014/11/03