新潮・現代世界の文学<br> 迷宮の将軍

新潮・現代世界の文学
迷宮の将軍

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  • サイズ B6判/ページ数 323p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784105090050
  • NDC分類 963
  • Cコード C0097

内容説明

夢を打ち砕かれ、わずか46歳で老人のように病み衰え、ひたすら死地へと、マグダレーナ河をさまよい下る報われぬ旅に出たシモン・ボリーバル。宗主国スペインからの独立を成し遂げ、〈解放者〉と呼ばれた華やかな面影はすでにない…。―失意のうちに没した実在の英雄を描く本格的“歴史小説”。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KIO

10
素晴らしい。一度だけでは読み足りない気持ちになり、ほぼ2月かけて再読しました。最初は面白く、途中で中だるみかと思いきや、終盤から結末がほんとうに素晴らしい。ちょっと震えました。将軍の終わりと関連づけて、周囲の人物の未来を描きつつ。次に、将軍の言葉で締めくくり、将軍自身の死をすこしの未来から描く。終盤は、惹きつけられて一気に引き込まれました。2012/11/27

荒野の狼

8
「迷宮の将軍」は、小説のカテゴリーとしては、ラテンアメリカの歴史上の独裁者を描いた「独裁者小説 dictator novel」に入り、ガルシア=マルケスの小説の中では「族長の秋」もこのジャンルに入る。ただ、「族長の秋」は、独裁者小説の特徴であるアメリカ合衆国の帝国主義のラテンアメリカ諸国への影響が批判的に描かれているが、本作は、スペインからの独立を勝ち得たシモン・ボリバル(1783-1830)の話なので、合衆国の介入はボリバルの死後となる。2025/02/17

KIO

8
ラテンアメリカ独立の功労者であり、英雄であるシモン・ボリバル将軍の晩年を描いた小説です。幸福とはいえない晩年を描いているのですが、文章はウィットに富んでいて面白いです。ずんずんと読めます。題名の「迷宮」は、将軍のおかれた状況を的確に表現していると思います。南米全域の広大な地域を舞台とした解放戦争の困難さ・栄光の一方で、支配者がスペインから独立戦争を戦った軍閥に変わっただけともいえる無価値さを理解することができます。シモンが大富豪であったのに、死に際してはほとんど財産を残さなかったことに、驚きました。2012/10/07

meg

3
感動した。 作品の中で交わされる会話に、マルケスの真髄を感じた。希望をもつなんてことよりも、目の前の人との会話をきちんとしよう、と思った。2022/07/07

でこれ

3
昔の夢は壊れ、かつての栄光は千千に散り、共には裏切られ、祖国と戦う羽目になったシモンボリーバル。どのような気持ちで最後の旅をしたのだろうか。死の床で迷宮なら抜け出すことはできたのだろうか。2019/11/04

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