冬の物語

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冬の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 363p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105069810
  • NDC分類 949.73
  • Cコード C0097

出版社内容情報

北欧の華やかな春、美しい夏、長く厳しい冬のなかを生きるデンマークの人々。作家自身がもっとも愛した物語る力に満ち溢れた短篇集。

ナチス占領下のデンマークで書かれ、作家自身がもっとも愛した短篇小説集。北欧の春は華やかに押し寄せ、美しい夏が駆け抜けると、長く厳しい冬がひたすらつづく。ナチス・ドイツ占領下にあった冬の時代、デンマークの人びとの生の営みを、大自然のなかに灯された命の輝きとして描きだす。『アフリカの日々』の作家が物語る力を存分に発揮した作品集。〈イサク・ディネセン生誕一三〇周年〉

内容説明

ナチス占領下のデンマークで書かれ、『アフリカの日々』の作家が最も愛した、いまこそ読みたい胆力ある人々の物語。

著者等紹介

ディネセン,イサク[ディネセン,イサク] [Dinesen,Isak]
1885‐1962。本名カーレン・クリステンツェ・ブリクセン。デンマーク、ルングステッドの地主の家に生まれる。1914年ケニアに渡り、夫のブリクセン男爵とともにコーヒー農園を経営。離婚後も経営をつづけるが、四十代半ばで帰国。1934年以降、男名イサク・ディネセンとカーレン・ブリクセンの二つの名で『七つのゴシック物語』『アフリカの日々』などをつぎつぎと発表

横山貞子[ヨコヤマサダコ]
1931年群馬県生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了(英文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みうか

70
ナチス占領下にデンマークで書かれた11の短編集。タイトルに惹かれて読んだがあとがきにもある通り、占領下の冬の時代に書かれた事がうかがえるような物語だった。北欧の長く冷たく陰鬱な空気が立ち込めているようであり同時に人々はまだ見ぬ遠くの世界に夢を馳せ、語り合う。はっきりした主張があるわけでもなく美しい自然が癒やしをもたらすわけでもなく生と死の海に漂う深海魚のようだった。神との対話や内省が多いのも印象深い。船の描写が目立つのもあちらとこちらを繫ぐメタファーのようだし著者の波乱に満ちた海外生活の名残にも思えた。2020/01/15

syaori

69
主に北欧を舞台にした短編集。『冬の物語』というタイトルのとおり、どの作品も冬の晴れた日の朝の凛として澄んだ空気を纏っているよう。登場人物たちは自分の人生よりももっと大きな時や運命を見つめているように感じることが多く、そんな彼らの、甘やかな夢見るようでいつつも、運命や人生に対する凛呼たる様が冬の空気を思わせるのかもしれません。百年先も残るものを思う『真珠』、湯治場で出会った二人の姉妹が印象的な『無敵の奴隷所有者たち』、寓話のような『悲しみの畑』、千夜一夜のお話にでもなりそうな『心を慰める話』などが好き。2018/10/10

ぶんこ

59
文章が実に美しい。これは著者の才能か訳者の才能なのか。美しいのですが、読むのには時間がかかりました。よく理解できなかった話も多く、また哀しい結末も多かったからでしょうか。「ペリーとローサ」「悲しみの畑」が特に辛かったです。ローサは15歳という若さでは、罪の意識の方が生きる意欲より優ってしまったのか。悲しみの畑では母一人子一人の家庭では、母の子を思う強い力に感動しました。「夢を見る力」では、裕福な家の子供だと信じているイェンスの、信じ込んでいる強さがもたらす力に驚嘆。2017/05/17

藤月はな(灯れ松明の火)

59
満ち溢れるのは無常観と一瞬の輝き。「少年水夫の話」はホモセクシュアル的要素ありでドキドキしてしまいました^^;しかし、「女の英雄」の収容所でも毅然とし、修道女達を助け、将校達の敬意を得たエロイーズの最後の過ぎ去って取り戻せない女の生きている若さを惜しむ言葉は印象的。女性ならばいつかは抱く虚無感と義務的な人生への諦念に溢れています。「魚」の微笑ましい話だと思っていたらそれは最後の事実の提示で繋がる経緯だったという事に慄然。「ペーターとローサ」の二人の愛は永遠になったことの経緯の凄まじさにも震えが止まりません2016/07/10

キムチ

55
装丁は現代の手になるものだろうが、作品イメージをよく表わしている。ディネセンは男性と思いきや、女性、ペンネーム。100年以上も前の方で収められている11の短編の舞台は大半が19ⅽ半ば、もっと以前のもある。原題通り、春の訪れが何かしら運命の一歩を進めんとする高鳴りを読み手の心に打ち続ける・・筆者の知的センスの高さ、研ぎ澄まされるようにきらめく教養も随所で感じる。正直、一読では?という作品もあり、消化不良気味の読書といえなくもない。とはいえ、横山さんの訳は素晴らしく音読した箇所も多く、楽しく豊かな感慨を戴けた2016/01/30

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