出版社内容情報
母さんはベストセラー小説家、そして離婚3回のツワモノだ! 奔放な母と娘の不思議な絆。韓国No.1作家が自身をモデルに新しい家族像を描いた話題作。
内容説明
生真面目な女子高生・ウィニョンの毎日は想定外の事件が盛り沢山。たとえば恋…自分の恋ならいいのだけれど、恋をしているのは母さんだった。彼女はベストセラー小説家、そして離婚歴3度のツワモノなのだ!奔放な母、父親の違う二人の弟。奇妙なチームで過ごす涙と笑いの日々は、早く大人になりすぎたウィニョンに「自分自身を愛すること」を教えるのだった。韓国女性の熱い支持を集める「新しい家族」の物語。
著者等紹介
孔枝泳[コンジヨン]
1963年ソウル市生まれ。延世大学英文科卒。出版社勤務、大学院を経て、労働運動に飛び込む。’88年に短篇小説『日の上る夜間け』でデビュー以来、韓国で若い女性に根強く支持される人気作家。21世紀文学賞、韓国小説文学賞などを受賞
連池薫[ハスイケカオル]
1957年新潟県生まれ。中央大学法学部3年在学中に拉致され、24年間、北朝鮮での生活を余儀なくされる。帰国後、中央大学に復学し2008年卒業。現在、新潟産業大学経済学部専任講師。’09年『半島へ、ふたたび』で新潮ドキュメント賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Viola
3
私小説。主人公である高校生が自分の娘、奔放に生きる母が作者自身。学生運動で共に熱い思いを胸に結婚した二人が、それがなくなったときに疑問になった愛という基本形。最後に娘に送る手紙の中には、共感できる思いがいくつもあった。人は愛するときに自分のやり方が正しいと思い、叶わなかった幸せに苦しむ。男女間でなくてもあることだなぁと思う。作品としては、少々冗長に思える。不要な枝葉が多すぎて少々中だるみ、著者の他の作品くらいのボリュームでも良かったと思う。2020/08/23
Mana
3
「サイの〜」に比べると時代の違いか、ずいぶん明るい。それでも理不尽なことは多々残っているけれど、主人公のラストが希望を持てる終わり方だった。2020/07/12
岸野令子
3
作家の家族について、自分の長女の目を通して描くというかたちが面白い。自分自身を突き放してみたり、近づけてみたり出来る。父親の違う3人の子どもたちを育てながら、いま、新しい恋人を得た作家、それを語る長女(になったつもりの作家)。よく泣く母さん。けっして美化せずにここまで書けるのはたいしたものだと思う。楽しい私たち家族を見てね、どんな家族もよそと違っていいんですよ、というのは韓国の家族観(うり世界)への挑戦だ。2012/10/21
ハッカ飴
3
私にとっては孔枝泳さんの作品はとても読みやすいです。でも、その分なんというか一歩踏み込んだ感じが足りなく感じられてしまうのです。それなら読まなければいいのですが、図書館にあるとつい手にとってしまう作家さんなのです。少女の「家」の意味の発見、新しい出発という終わり方は韓国らしく、またさわやかでよかったと思います。それにしても、韓国の受験、学歴偏重というのはすさまじいものなのですね。2012/02/11
ぽて子
3
最後まで読みとおして、「私たちの家」ではなく「私の家」とした意味が分かったような気がした。18歳って何にでもなれる可能性がないわけでもないけどまだかすかな希望はあって、社会的にはそろそろ大人になることを求められるけどまだ自分の足で立つことはできなくて、私はすごく不安定な時期だったな。2010/10/03