感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
93
夫婦というのは不思議だと思う。何があっても、会えば何となく収まる。しかし、話し合っていくと、また諍いが起こる。会話なんてなくて、ただ一緒にいるものなのかもしれない。少なくとも、この小説の中では。ジャニスの孤独はわかっても、彼女はネルソンを傷つけるから、私は嫌いだ。自分の女の部分を息子の前でも忘れないなんて残酷だ。ジルは彼女なりに生きようとしたが、弱くて一人で立てなかった。彼女がいなくてはダメだって人がいなかったからじゃないだろうか。そしてジルがキリストになった。皆の罪を引き受けて火焙りとなったのだと思う。2016/10/15
ヘラジカ
16
読ませる。相変わらずクズみたいな人間だけれど、自分の中にもそういうクズ男がどこかに存在していて色んな部分でものすごく共感してしまう。男の人なら誰でもそうなのでは?むしろ女の人には分からないかも?早速第3部へ。2016/10/15
田中
14
ごく微少な気にも付かない表層が丁寧に描写される。そこは難解な詩的世界だった。アップダイクの思念化した文章は、意味が難しい。スキーターと暮らすことによって、近隣住民からの激しい人種差別を体感するウサギ。黒人と白人が共存する社会は、根っこから見解が食い違っているのだろう。黒人を蔑視する差別社会の一端が垣間見えるけれど、これが当時の現実かもしれない。米国人の価値観がウサギを通してよく分かる。夫婦のあり方、親子関係は、米国人ならではの特徴だろう。問題に直面するウサギは漂流しながら生きているようだ。 2017/06/30
ひと
6
ウサギの家は放火?で燃えてしまってジルとの生活は終わってしまう。最後はジャニス(妻)とよりを戻したようなどちらともとれる終わり方に…2020年代の現在も1970年代当時もペンシルベニアは不景気で、その理由は増加する移民のせいだったりしてアメリカとは何だ、と投げかけてるのかと思いました。2025/04/26
マサキ
3
我が青春の書、走れウサギ続編。例によって、爽快感は皆無。神経質に鼻を鳴らすウサギ、チェックメイト、八方塞がりです。でもそうじゃない大人なんている?今度こそ、逃げろウサギ!2014/08/15