出版社内容情報
お嫁さん養成ギプスなんか?みきってやる――私たちの奇妙な生活の行き先は。楓はお腹の子の父親である先生と、その妻・野ゆりと暮らし始めるが、先生が姿を消してしまう。二人の同居生活はうまく回りそうにも思えたが、楓には秘密があり、やがて限界が訪れて……。「こんな生活、いますぐぶっこわしたほうがいい」「ぶっこわして、それからどうするつもりなの?」しなやかで爽やかなスタートの物語。
内容説明
妊娠中の楓は、子どもの父親である作家“先生”の岐阜の実家に引っ越して来た。出産後の育児を案じた先生が、先生の妻・野ゆりと三人で暮らそうと企てたのだ。積極的に楓の世話を焼く野ゆりの本心がわからないまま同居を続ける楓だったが、実は秘密を抱えており、「ふつう」でない家族にはやがて限界が訪れる…。「こんな生活、いますぐぶっこわしたほうがいい」「ぶっこわして、それからどうするつもりなの?」―しなやかで爽やかな、スタートの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
61
サザエさんを彷彿とさせる題名から軽い読みものだと思ったら、売れっ子小説家とその妻、若い愛人が田舎町で同居するというヘビーな設定に驚き。愛人は妊娠中で、妻は不妊治療をあきらめた過去があり。・・とくるともうドロドロの予感しかないけど、そういう方向にはいかず。妻と愛人それぞれの過去が描かれたり、田舎町の人間模様や小説家の母の話もあって。これは一体どういう話なんだろうかと思いつつ読んだけど、最後はスッキリ。終わりよければ・・ということで、面白かった。2025/04/30
papapapapal
32
”先生”の子を妊娠した楓が、先生と妻さんが暮らす田舎の家に居候することに。いわゆる本妻と愛人なのにどろどろしていないのは、この先生がとんでもなくて2人が諦めに境地に?と思えばそうでもなく、何故かふんわり進んでいくストーリー。家族って何だ、絆って何だ、共同生活ってどういうことだ、を考えた一冊。ラストは気分が晴れ晴れ。YouTubeやら丁寧な暮らしやら如何にも今どきの物語なようで、根っこは大昔からどこにでも転がっていたような一触即発めいた関係性を描いてる。学習したりしなかったり…私たちは「相変わらず」なのか。2025/05/14
信兵衛
19
身勝手な男たちに反旗を翻す女たちの物語。 最後は、ある名作映画のラストシーンを思わせる痛快な幕切れ。 その最後があるからこそ、本作を肯定できます。2025/04/24
たっきー
12
タイトルが好みではないなと思いながら吉川さんの新作なので手にした。作家の太陽の子を宿した楓は、太陽の妻・野ゆりと共同生活を始める。だらしない太陽を楓も野ゆりも冷めた目で見ている。エンディングはそうなるだろうと思うところにちいきついたが、そもそも太陽にあまり魅力を感じられない。女性との縁はあるように描かれているが。2025/05/22
そうたそ
10
★★☆☆☆ 妊娠中の主人公は、子どもの父親である作家"先生"の実家にて、その先生の妻を含めた三人で同居することに。何とも歪な同居生活に思え、どういう話になるのかと思いきや、思いの外爽やかな読後感。やや話がとっ散らかっている感はあったものの総じて楽しめた。2025/05/01