出版社内容情報
お嫁さん養成ギプスなんか?みきってやる――私たちの奇妙な生活の行き先は。楓はお腹の子の父親である先生と、その妻・野ゆりと暮らし始めるが、先生が姿を消してしまう。二人の同居生活はうまく回りそうにも思えたが、楓には秘密があり、やがて限界が訪れて……。「こんな生活、いますぐぶっこわしたほうがいい」「ぶっこわして、それからどうするつもりなの?」しなやかで爽やかなスタートの物語。
内容説明
妊娠中の楓は、子どもの父親である作家“先生”の岐阜の実家に引っ越して来た。出産後の育児を案じた先生が、先生の妻・野ゆりと三人で暮らそうと企てたのだ。積極的に楓の世話を焼く野ゆりの本心がわからないまま同居を続ける楓だったが、実は秘密を抱えており、「ふつう」でない家族にはやがて限界が訪れる…。「こんな生活、いますぐぶっこわしたほうがいい」「ぶっこわして、それからどうするつもりなの?」―しなやかで爽やかな、スタートの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
63
サザエさんを彷彿とさせる題名から軽い読みものだと思ったら、売れっ子小説家とその妻、若い愛人が田舎町で同居するというヘビーな設定に驚き。愛人は妊娠中で、妻は不妊治療をあきらめた過去があり。・・とくるともうドロドロの予感しかないけど、そういう方向にはいかず。妻と愛人それぞれの過去が描かれたり、田舎町の人間模様や小説家の母の話もあって。これは一体どういう話なんだろうかと思いつつ読んだけど、最後はスッキリ。終わりよければ・・ということで、面白かった。2025/04/30
えんちゃん
60
共感など微塵もないのに最後は実に爽快。ブラボー。小説家の夫、その妻(不妊治療歴あり)、夫の愛人(妊娠中)。田舎での3人の奇妙な共同生活を描く物語。序盤からずっとイラつかせる展開にうんざりしつつも、落としどころが気になって読んでしまう。このイカれた設定をあえてコミカルに仕立てないところにトリコさんの上手さを感じた。ルルルルルルー 今日もいい天気ー。赤ちゃんに幸あれ。2025/05/15
Ikutan
58
作家である先生の子どもを妊娠中の楓は、都会から古ぼけた先生の田舎の家にやって来た。そこで、先生の妻である野ゆりさんが、裸足で登場する。ということで、正妻と妊娠中の愛人が田舎で同居生活をおくることに。と言ってもドロドロな展開にはならず、野ゆりさんは、楓に好意的であれこれ世話をやく。第一章は楓の視点で、第二章は野ゆりの視点で描かれ、第三章で二人のそれぞれの事情が明らかに。まぁ、作家が一番ダメな奴というのは想像通りだったな。タイトルから軽いお話かと思ったのに、ページ数も多くて、思いのほか読了に時間がかかった。2025/09/17
papapapapal
36
”先生”の子を妊娠した楓が、先生と妻さんが暮らす田舎の家に居候することに。いわゆる本妻と愛人なのにどろどろしていないのは、この先生がとんでもなくて2人が諦めに境地に?と思えばそうでもなく、何故かふんわり進んでいくストーリー。家族って何だ、絆って何だ、共同生活ってどういうことだ、を考えた一冊。ラストは気分が晴れ晴れ。YouTubeやら丁寧な暮らしやら如何にも今どきの物語なようで、根っこは大昔からどこにでも転がっていたような一触即発めいた関係性を描いてる。学習したりしなかったり…私たちは「相変わらず」なのか。2025/05/14
olive
28
裸足てかけてくといえばサザエさんじゃーん!だが本書の妻さんは裸足でかけてくけど♪みんなも笑ってるお日さまも笑ってるルルルルルル♪とはならず。だって、サザエさんは三世代同居なのに揉め事もない陽気な家族だけど、本書の家族は複雑!正妻と夫とその愛人が同居することになり愛人は妊娠中。ふんわりタッチの装幀とはかけ離れたドロドロとした関係に困惑。ドラマ界隈で流行ってる、不倫、奪略、復讐...人間の深淵を描くような物語なの?どうなるこの同居生活!ドロドロになってもおかしくない設定を、女性たちへエールにしてるのが上手い。2025/10/01
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