出版社内容情報
神森で行方不明になった5歳児と迷い込んだ4人の男女。拭えない罪を背負う彼らの真実と贖罪。原生林で5歳のASD児が行方不明になった。1週間後無事に保護されるが「クマさんが助けてくれた」と語るのみで全容を把握できない。バッシングに遭う母のため義弟が懸命に調査し、4人の男女と一緒にいたことは判明するが空白の時間は完全に埋まらない。森での邂逅が導く未来とは。希望と再生に溢れた荻原ワールド真骨頂。
内容説明
誰の人生にも罪はあり、罪の理由は人生にある。神森で5歳のASD児・真人が行方不明になった。無事に保護されるが「クマさんが助けてくれた」と語るのみ。真人の母でシングルマザーの岬は、バッシングに晒されている。真人の叔父・冬也の懸命な調査で、4人の男女と一緒にいたことは判明するが、空白の時間は完全には埋まらない。森での邂逅が導く未来とは―。誰もが抱く、拭えない過去を浄化に導く、癒やしの書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
468
荻原 浩は、新作をコンスタントに読んでいるさいたま地元作家です。ファンタジー的な作品かと思いきや、予想外の展開で面白く、感心しました。最期にもう少しサプライズがあったら、尚良かった気がしますが、今年のBEST20候補です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/468907/2024/06/17
修一朗
330
タイトルから「愛しの座敷わらし」的な民俗学系ファンタジーかと思って読み始めたら,違っていました。発達障害の少年が経験する精霊の森のお話。心に傷を負ったクセツヨの男女4人が次々ち森で真人と遭遇し,自然と真人を助けてしまう。真人の持つ生命力と純真さがもたらしたものだ。何より描かれる真人の成長が素晴らしい。神森の描写はとても美しい。合体樹が生い茂る森,特に夜を経験してみたい。ASDについても終始ポジティブに描かれていてよかった。荻原浩さんらしい,至玉のハートウォーミングストリーでした。2025/03/29
ひさか
305
週刊新潮2022年3月24日号〜2023年2月23日号掲載のものを2024年5月新潮社刊。神森で行方不明になった5歳の真人の謎の1週間が明らかになる。読みどころは多く、ページを繰る手が止まらない。途中まで、わざわざ真人をASDという設定にしなくてもいいのにと違和感があった。読み進むと気にならなくなったが、読後、やはり違和感がある。ところで森は笑っていないと思うのだが…2024/07/31
のぶ
276
荻原さんの本は20年以上読んでいて、ほとんど外れがないので安心して手に取ったが、本書も楽しむ事ができた。行方不明になっていた5歳の真人が森で発見される場面から話は始まる。真人は自閉症スペクトラム障害と診断されており、同世代のこどもと同じようなコミュニケーションを取ることも難しい。1週間も森の中を彷徨っていたにしては、真人は衰弱していなかった。誰かが彼を助けてくれたのだろうか?そんな流れで物語は展開していくが、ちょっと間違うと重苦しい話になってしまうところ、ラストまでユーモアを含んで面白い作品だった。2024/06/16
hirokun
270
★4 ASDの子供が行方不明になったことをきっかけに起こる多くの人が抱える罪、嘆きをタネ明かしとともに展開していく作品。ASDの子供の特徴をストーリー展開の中で巧妙に活かしながら、推理小説とファンタジーを織り交ぜた作品に仕上げている。また、別の視点からは、子供の発達、成長を温かく表現している。2024/07/05
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