出版社内容情報
政治家は歴史の法廷の被告である。だからこそ、私はすべてを書き遺した。
豊かなエピソード、鋭い観察、鮮やかな人間分析。卓抜な歴史観と国際政治の解剖。そして誰よりも知悉している権力とリーダーシップへの深い洞察。「戦後政治の総決算」を唱えた男の栄光と挫折の人生体験が見事に息づく書下ろし。昭和史上、稀代の政治家・中曽根康弘氏の発言は混迷を極める日本が難局を乗り切るための指針となる！
目次
総理大臣の資質
政治家が書き遺すことの意味
人物月旦（戦後日本の政治家たち；海外の偉大な指導者たち）
わが政権を回想する
これからの世界を読む
漂流国家、日本のゆくえ
著者等紹介
中曽根康弘［ナカソネヤスヒロ］
１９１８年生まれ。東京帝国大学法学部政治学科卒業。４７年、群馬３区から衆議院議員初当選（民主党）。５９年、科学技術庁長官として初入閣。６７年、運輸大臣。７０年、防衛庁長官。７２年、通産大臣兼科学技術庁長官。８０年、行政管理庁長官、土光敏夫経団連名誉会長を第２次臨調会長に招聘。８２年、第１１代自民党総裁、第７１代内閣総理大臣に就任。８７年１１月、戦後３番目の長期政権（１８０６日）の幕を閉じる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
36
齢百歳を超え、今なお矍鑠な御仁の平成１６年の著作。エンディングノートな意味合いと、死にそびれたバツの悪さも。旧海軍に主計官僚として従軍し、戦後は政治家を志す。吉田茂、佐藤栄作、田中角榮らの歴代総理への所見、サミットや外交を通じた、レーガン、サッチャー、周恩来、ゴルバチョフら海外の指導者との思い出。自身の内閣で果たした実績と失敗の弁。国鉄分割民営化の大功の裏側を引き合い、自省というより自賛な部分が多い。当時の将来の展望は当たっているものもあり、甘いものもあり。それでも大人物であることに変わりがないとの実感。2018/07/02
サトシ@朝練ファイト
27
まず、とても面白く読んで良かったです‼ だけど、感想を書くのは難しいな。中ソーネさんはロッキード事件、リクルート事件と名前が挙がるも逮捕されず、弱小派閥の長にもかかわらず首相になれ政権を長期に渡り維持する事ができたのだが、なぜの答えが少しはわかった気がする。角栄さんの後押し、思いきった人材登用と臨調などの財界をも巻き込んだ政権だったんだ。役人とはケンカするなと言いつつ大蔵省を遠ざけるのは財務省を官邸に入れない現政権にも通じる。佐藤優も言うように「外交は人」との言葉は、ロンヤス関係に例えられるようにレーガ2016/11/26
Shun
8
大正7年生まれで、今年、百寿(100歳)を迎えた、群馬県高崎市出身の中曽根元総理。昭和57年から62年まで総理を務め、昭和の総理としては唯一存命しているお方。 そのときの総理が何を考えて動いていたかという事について興味があり手にしてみた。苦い従軍経験を持ちながら、戦後の外交関係では対米関係に重きを置いている。その一方で憲法改正にも一貫して積極的。政治家として重要な哲学が「わが宗教観」の箇所に色強く出ていると思う。 台湾(中華民国)の国連脱退のエピソードが印象的だった。2018/10/15
ナリボー
5
6/10 政治家としての姿は知らないに等しいが、海軍で戦争を経験し、深く国家のことを考え、それをバイタリティに富んだ行動に反映させていたかというのがよくわかった。 日本は一対一の外交は得意でも一対多数の外交が苦手というのも納得がいったが、その中で筆者が国益のために奔走した姿というのも垣間見えた。 一国のトップが政局の裏側を含めて詳らかに明かした、かなり貴重な一冊ではないかと推察した。2021/04/14
ｊｊ
5
2004年 第71代総理著。戦前戦後の政治家を自らの視点からの論評や海外の指導者たちとの回想等興味深い。不沈空母発言の真相、風見鶏の真意。日本の首相として初めてサミットで中央に立って写真撮影となったウィリアムズパークサミットでの数々のエピソード。ロッキード事件、リクルート事件、米国の圧力策略などれも興味深く、予想以上に楽しめる内容。2017/04/23
