内容説明
国際世論を押し切り、新京を国都とする満州国が建国された。関東軍に反目しながらも国家建設にのめりこんでゆく外務官僚の太郎、腹心の部下だった少年と敵対することとなった馬賊の次郎、「憲兵隊の花形」と称されながら殺した人間たちの亡霊に悩まされ続ける三郎、さらなる罪を背負って満州の荒野を流浪する四郎…ついに敷島四兄弟は満州の地に集うが、満州をめぐる人々の欲望はますます膨れ上がり、少しずつ常軌を逸していく。四つの視点で描かれる前代未聞の満州全史、「熱河侵攻」を描く第三巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
75
満州国建国。外交官の敷島太郎は、建国には懐疑的だったが今は、国の建設に胸を躍らせる。次郎は、何の目的もなく金銭で請け負った荒仕事で金を稼ぐ。三郎は、妻を得て、「憲兵隊の誇り」と称えられ、皇国のために職務に励む。四郎は、義母と関係した男を殺害し、大陸を流浪することになる。それぞれが、国家に翻弄されながらもそれぞれの道を歩む。日本人が夢を託した満州国、破綻の道に歩み続けるのが垣間見れる。国際連盟の脱退、国家の財源確保のために、阿片で利益を得るための熱河侵攻。なりふり構わぬ政策が、進行する。虚しさだけが残る。2026/03/08
キムチ
40
ボリュームを感じないほどに展開に没頭してしまった。満州国の設立、文中では日本の婚外子的な表現で述べられる。石原莞爾の名前が躍る。して時代は日中戦から国際戦への移る影が。ヒトラーの存在が浮かび上がってきて無気味な臭い。太郎は日本の外郭的存在、三郎は日本の内面的苦悩、四郎は日本の病める部分の・・次郎は日本の陽が当っている部分の象徴の人格を感じた。満蒙開拓団という砂上の楼閣と娘子軍。食に餓え、生と死のはざ間での時間が日常的になるとこうも性がむき出しになるのか・・・日本鬼子という言葉。チリチリ、響く。2014/11/18
KAZOO
30
満州国建国に向けての敷島四兄弟の動きやそれを取り巻く人々の動きがかなりきめ細かく活写されています。普通の歴史の本では味わえないロマンというものを感じてしまいます。私はコミックで村上もとかさんの「龍」を愛読していますがそれに通ずるものを感じています。2014/06/17
いくら
29
ついに満州国建国へ。国際的にはリットン調査団が満州入りをし、結果日本は国連脱退への道を進む。そうしたなか外交官としての太郎の意識が少し軍部寄りへと変化していき、三郎は妻帯してなお憲兵の職務にまっとうする。またしても一匹狼となった次郎は相変わらずの無聊ぶり。情に厚いところも健在。四郎も渡満することになるが、四兄弟のアキレス腱的存在です。そして今まで不気味な動きを続けていた間垣の正体が少し明らかになる。薄暗い影を落としつつ4巻へ。2014/05/02
藤枝梅安
27
物語は昭和7年3月から始まる。敷島四兄弟それぞれの視点から満州国建国から国際連盟脱退に至る動きを追いつつ、四人の間を往き来する間垣徳蔵。史実を基に書かれているため、スイスイ読めるという小説ではない。敷島四兄弟は運命に導かれるように満州でそれぞれの任務・役目を負い、次第に互いの動きが一つの終末へと収斂していく予感を読者に与える。この巻では第一巻の冒頭に出てきた明治維新期の会津戦争への言及が違う人物を通してなされるところに注目したい。なお、274ページ16行目「四郎は・・・」は明らかな誤記。「三郎」のはず。2010/09/18




