出版社内容情報
黒船来航前夜。藩の窮地を救うため、飛脚たち最後の激走が始まる!嘉永六年元日の加賀藩は苦悩していた。異例の暖冬で氷が作れず、しかし今夏行う将軍への「氷献上」に失敗は許されない。苦境を知った御用飛脚宿・浅田屋は氷の入手、献上日の変更、他藩への協力要請、保冷箱開発と次々現れる難問に知恵と情熱で立ち向かう。江戸最後の忠義を圧倒的展開で描く「大江戸プロジェクトⅩ」誕生!
内容説明
嘉永六年(一八五三)元日、異例の暖冬に加賀藩は弱りきっていた。この夏の重要行事である将軍への「氷献上」に不可欠な氷が全く作れないのだ。ひと月後、信州の旅籠の氷室で見つけた氷には、八十名以上もの先約が。事態を打開するため御用飛脚宿「浅田屋」の面々が立ち上がる!氷の確保、献上日の調整、他藩の説得、新しい氷室の普請、運搬中のアクシデント―怒涛の展開があなたを待つノンストップ時代小説!
著者等紹介
山本一力[ヤマモトイチリキ]
1948年高知県生まれ。東京都立世田谷工業高校電子科卒業後、様々な職を経て、’97年『蒼龍』でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。2002年、『あかね空』で第126回直木賞を受賞。その後、2012年に第1回歴史時代作家クラブ賞、2015年に第50回長谷川伸賞も受賞している。困難にあっても誇り高く生きる人々を描いて熱い支持を集め、飾らない人柄の滲むエッセイや人生相談も好評(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふう
29
暖冬で氷室に氷がない、将軍に献上するはずが、から始まる難問が次々襲いかかる中で飛脚、老中、職人たち、茶屋の婆さんまで、いろんな人を巻き込んでのハッピーエンド。しかし、たかだか氷、たかだか将軍、この時代だから罷り通る無理矢理感が否めない。2023/08/27
ひさか
22
小説新潮2019年7〜11月号、2020年1〜8、2020年10月号〜2022年3月号連載のものに大幅な修整を加えて2023年5月新潮社から刊行。将軍に氷を献上するためのリレーがプロジェクトxばりの視点で語られる。いつもの一力節を更に押し進めた料簡、焙じ茶、等の嵐にあをられての練り歩き世界観が秀逸。いや〜一力さん、ここまで考えるのか!と感心しました。2023/07/31
長くつしたのピッピ
20
シリーズ最終巻。加賀百万石から毎年6月1日に将軍に献上する氷が暖冬で保存できない。どうする加賀藩、浅田屋。各藩の用心たちの才気と度胸に驚嘆した。人を欺くより胸襟を開いて真摯な話し合いでの解決は,読んでいて清々しい。浅田屋の新当主の若いながらも実直な人柄も好ましい。浅田屋の飛脚の労を惜しまない仕事ぶりや工夫が読み手を惹きつけてやまない。幕末になってしまったけれど、番外編で前田綱紀公の物語を読みたい。2023/08/27
檸檬の木
20
金沢と江戸を毎月三度「走り」で結ぶ加賀藩の三度飛脚を務める浅田屋。毎年恒例の風物詩となった夏場の将軍家に、氷を運ぶ「氷室氷献上」だが、雪不足で未曾有の難儀に直面。藩の威信を懸けた最重要行事で失敗は許されない。加賀藩、幕府老中首座、浅田屋が知恵を絞り、問題点を洗い出し、一つ一つ解決しながら綿密な計画の基に一世一代の大プロジェクトを遂行した。市川団十郎の登場は著者のご愛嬌かな?⭐︎3・52023/07/23
hirokun
18
星3 私は時代小説が好きなほうで、山本一力さんの作品も新刊を中心に読んでいる。今回の作品は、時代は江戸時代に設定しているが、プロジェクト小説とでもいうべきもので、機能別役割り分担、タイムスケジュール、リスク管理、プランオプション設定など当にプロジェクト管理そのものの取り組み。内容としては、私の好きな時代小説としての、時間がゆっくり流れるような趣、人情などはなく、淡々とストーリーが展開されていった。少し期待外れの作品であった。2023/07/14