内容説明
十兵衛店の長屋に、一人の娘が太吉を訪ねてやって来た。料理人だった父親の形見の出刃庖丁を、供養として研いでほしい―快く引き受けた太吉に、かおりと名乗るその娘は、妙なことを口走る。おとっつあんは、殺されたんです…。一力節が冴えわたる傑作時代長編。
著者等紹介
山本一力[ヤマモトイチリキ]
1948年高知県生まれ。東京都立世田谷工業高校電子科卒業後、様々な職を経て、’97年『蒼龍』でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。2002年、『あかね空』(文藝春秋)で第126回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤枝梅安
18
05年から07年にかけ「波」に連載された、山本さんお得意の下町人情小説、「研ぎ師太吉」。今回の主人公は深川黒江町に住む研ぎ師の太吉。太吉は御家人・吉川家に奉公に出、そこで行儀見習いの奉公をしていた香織と心を通わせる。大水で両親と研ぎの師匠を亡くした太吉は翌月、主から突然暇を出され、箱崎の長屋を用意してあるのでそこで研ぎ師として仕事をするようにと告げられる。訳の分からぬまま屋敷を出た太吉だったが1年半後に長屋が取り壊されることになり黒江町に引っ越してきた。2010/10/02
カヨ
5
研ぎ師である主人公太吉が冤罪である女性を助けようと動く物語、食事の光景が美味しそうで、生真面目で一貫した太吉さんが女性にもてるのも頷けて、出てくる人物の大半が勘が鋭く良い人だったり大物理解者が多く、それも太吉さんの人徳なんでしょうか。2014/01/08
かず1号
5
研ぎ師としての腕とその真っ直ぐな生き方に惹かれる(書いてないけど多分二枚目)女性が多いのは羨ましい(笑) そういう女性の一人を冤罪から救うために動くとその人柄に惹かれて色んな男が太一の頼みに応えてくれる といいつつもミステリがメインというより職人の世界や侍の世界も描かれていて、江戸の色んな情景・風習を楽しめる雑味のない読み易い(深みがないとも言うが・・・)お勧めの本です2013/12/08
むつぞー
5
捕り物より真直ぐな生き方に重点があるあたりが作者らしい。2008/01/24
おばりん
4
江戸時代も商人の暮らしがあって当たり前なのに、岡っ引きや浪人、侍ばかりが目に浮かぶ、普通に飯屋さんや飲み屋さんや水屋さ、鍛冶屋さんとなんだか楽しい。推理は緩やかだけど時代に魅力有り!かな2012/02/02




