内容説明
80年代を疾走した作家と、言葉をもたない子供の父として煩悶する編集者。「時」に洗われた記憶が清冽な力作長編。
著者等紹介
辻章[ツジアキラ]
1945年、神奈川県生まれ。横浜国立大学卒業。出版社勤務を経て、執筆活動に入る
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感想・レビュー
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otogination
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元群像の編集長による中上健次の回想録だが、中上について書かれたものの中では一番心に残るものだった。作者の眼によって中上が分析され、丸裸にされているが、それは決して暴露的なニュアンスではない。むしろ、作家としてしか生きられない者、さらには文学やアートなど文化芸術的なものに人一倍入れ込まざるを得ない者の心性が、次の一節のように書かれている。「私が彼の中に感じた、子供の心、だった。中上の、子供の心。それこそが、私が彼に感じた、作家らしい空気、の、その中心にあるものだったと、私は思い返す。」2022/02/20
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