出版社内容情報
この国の美しさは文学にある。この著者でしか味わえない格調に充ちた長篇。米兵の父は敵のミサイルの囮となり、「ニッケル」と呼ばれる戦闘機のパイロットだった。ベトナムから奇跡の生還を果たした父と日本人の母と基地で暮らすクニオは長じて日本文学に魅せられ、編集者を志す。新人と大物作家、海外翻訳家の伴走など仕事と理想に捧げた男の生涯。この著者でしか味わえない格調に充ちた長篇小説。
内容説明
日本文学を愛した男。軍人の父を愛しながら、戦争を憎み、文学にかけた歳月。その人生こそ美しい小説である。
著者等紹介
乙川優三郎[オトカワユウザブロウ]
1953年東京生まれ。外資系ホテル勤務などを経て1996年小説家デビュー。2001年『五年の梅』で山本周五郎賞。2002年『生きる』で直木三十五賞。2013年初の現代小説『脊梁山脈』で大佛次郎賞。2016年『太陽は気を失う』で芸術選奨文部科学大臣賞。2017年『ロゴスの市』で島清恋愛文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
149
乙川 優三郎は、新作中心に読んでいる作家です。 著者ならではの独特の世界観、編集者の物語、但し、今回はあまり本作品の世界に嵌りませんでした。 https://www.shinchosha.co.jp/book/439310/2023/12/15
雅
53
日米ハーフの編集者が主人公だからか、日本文学の美しさがより強調されていた印象。大きな展開はないけれど、最後までじっくりと読み込ませてくれる2024/01/05
キムチ
46
装丁~一面えんじ色 クニオと思しき男性の横顔、次ページは黒そして真紅へ。胸躍らぬはずがない。日米ハーフとして生まれ、編集者として日本語に深く携わり 自死の道を選んだ父が走り抜けた人生を1冊にした彼・・そこに凝集した 時を吐き出すかの様な当作だから、この表題か。改題した意が見える様。3つの死が登場~父・畏敬する作家三浦、そして己。母親の死すらついでに思える書き方は意図するところとはいえ。。。時代劇のカテを離れ現代へ題材を移した氏の想いが一層に強く思えた作品だった。後半、川端作品を取り上げ「日本語文と英文」2023/12/03
練りようかん
15
日本文学を愛し、ゆくゆくは小説を書きたいと思っているクニオの一生を描く。軍人の父と読書を心の糧とする母を持つ。くだんのゆくゆくをずっと先に見据えた人生のグランドデザインが素敵で、両親の影響も感じた。日本が好景気のときに出版社に就職、出来事のひとつひとつが興味深く抜き出して書きとめる文章が沢山あり、業界ものへの好奇心もくすぐられて楽しい。そして「文学はどこまで人のためになるのだろうか」という問いと、余生を実りある暮らしにしつらえることが並走し、固有の主題として育つ面白さを感じた。充実感たっぷりの読書だった。2025/12/07
ジュール
11
乙川さんの静かで硬質の文章はあいかわらず素晴らしい。 今回はアメリカの軍人を父に持つ編集者。やはり乙川さんの作人によく出てくる職人と相通じるものがある。 新人の作家の歩美を一人前に育て、大家の三浦との出会いとその死。ただ後半はすこし冗長、マンネリのような気がした。2024/04/20




