出版社内容情報
人生の半ばを過ぎてなお、人は何かを追い求め、挑み続ける。書下ろし(12月刊)と連続刊行、著者の原点と歳月を綴る記念碑的長篇。書下ろし長篇(12月刊)と連続刊行! 著者の原点と歳月を刻む記念碑的長篇。時に人は過ぎ去った日々から思いもかけない喜びを受け取ることがある。だからだろうか、響子は新たな世界へ繰り出し、追い求めた。完璧に美しい小説と馴れ合いでない書評を、カクテルのコンペティション、数十年来のパートナーとの休らいを。『この地上において私たちを満足させるもの』(12月刊)と対をなす長篇小説。
乙川 優三郎[オトカワ ユウザブロウ]
著・文・その他
内容説明
「完璧に美しい小説」があった。もう一度見せて欲しい、あの不敵な美しさを。南洋パラオの出会い、書評家と円熟期の作家、傍らにカクテルグラス。文芸の極みと女の旅。成熟の世界を描く記念碑的長篇。
著者等紹介
乙川優三郎[オトカワユウザブロウ]
1953年東京生まれ。外資系ホテル勤務などを経て1996年小説家デビュー。2001年『五年の梅』で山本周五郎賞。2002年『生きる』で直木三十五賞。2013年初の現代小説『脊梁山脈』で大佛次郎賞。2016年『太陽は気を失う』で芸術選奨文部科学大臣賞。2017年『ロゴスの市』で島清恋愛文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
175
乙川 優三郎は、新作中心に読んでいる作家です。読書小説かと思いきや、作家カクテル恋愛小説、洒落たお話でした。大女優の名前のついたカクテルが沢山あることを初めて知りました。2年後にカクテル『フィフティファイブ』が呑めるでしょうか?2018/12/06
じいじ
68
まずもってこの小説、5年余も手を付けず書棚に眠らせたことを後悔しています。時代小説の『霧の橋』でハマった乙川氏だが、これを読んで現代小説も十分に面白いことを確信しました。こんなの静かに燃えるような大人の恋物語をも描かれるのを知りました。さて、今作は小説を生業にする男女二人の恋物語。主人公の二人、響子は面白い性格の女性だが、いまひとつ好きになれないが、男の方は自分と重なる部分があり共感した。読み終えて、主人公を語り部として、乙川氏の文学論は面白かった。願わくば、10年早く読みたかったが…。2025/06/04
南雲吾朗
66
「この地上において私たちを満足させるもの」を読むために、読了。美しい言葉を完成させる難しさを知っているだけに美しい文章に魅かれる書評家の物語。書中に書かれている「同じ意味の事を人間は幾通りもの言葉で表現する。その違いが美醜になり、作家の真骨頂にもなれば疵にもなる。」という箇所に感嘆する。命を削って紡ぎだす美しい言葉、文章。それを読めることは読者にとって、この上ない幸福であると私は思う。この本で、これだけハードルを上げておいて「この地上において…」は、大丈夫なのだろうか?っと不安になる。凄く良い本でした。2019/07/23
キムチ
57
「脊梁山脈」以来、乙川作品は稜線を登りつめるような感が強い。当作でも、作中人物の口を借り 乙川文学論を語っている。とはいえ、響子~嫌だなぁ・・絶対お友達にはなれない なりたくないタイプ。三枝氏も。カクテルと南の島のテイスト(装丁も)から始まり、終始『成熟した?』大人のムード。文学、趣向、ライフスタイル、性関係もろもろ。。そのせいか崇高な論点が頭の上でカラカラ回る音となり、よほど体調がよくないと読めない読後感が残った。とはいえ、かような作品、同じ味付けを食べがちな私にはいい刺激。12月刊行作・・愉しみ?2018/12/02
KEI
38
書評を書く女と小説を生業として生きる男との長きに渡る不倫生活は女が求めたものではなく、たまたま愛した男が奔放な男であった。25年前に美しい文章を紡いだ男も年齢を重ねる毎、精彩を欠いている事を憂う女の述べる文芸論は著者の本音の文芸論であろう。本書も美しい文章と豊かな語彙に著者の覚悟を見た様に思う。時折挿入されるカクテルの話は成熟した女を表しているかの様であった。男と別れ心を病み南の島で癒されていく女に届いた男の新たな新境地を思わされる本「この地上において…」を手にして、また生きる力を得るシーンは美しかった。2022/05/06
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