出版社内容情報
危険の迫る西郷隆盛を守るのは沖田総司の甥、芳次郎――! 青年剣士の成長の中に、戦の果てにある「武士の本懐」を問う時代長篇。
内容説明
明治九年。沖田総司の甥で天然理心流の遣い手である沖田芳次郎は、旧庄内藩の家老たちから西郷隆盛の警護を命じられる。叔父譲りで卓越した剣の腕を振るう芳次郎だったが、死闘を重ねるうち、人には力に勝る強さがあることを知る―。青年剣士の成長と挫折を描き、闘いの果てにある「武士の本懐」に迫る感動の時代長篇。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。山形大学教育学部を卒業後、東北大学大学院文学研究科で西洋史学を専攻。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞、99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を受賞。2014年には『小説フランス革命』(全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
63
庄内藩から見た西郷隆盛が描かれます。西南戦争なので、敗北になってしまうのは仕方ないでしょう。西郷どんが大河ドラマで扱われていたときに読みたかったです。2021/04/05
星落秋風五丈原
54
庄内藩士は降伏に伴い厳しい処分が下されると予想していたが寛大な処置が施された。西郷の指示によるものであったことが伝わると彼の名声は庄内に広まったそうだ。どうやら大西郷はフィクションでわざわざ英雄視しなくても、戦が終われば敵味方なく受け入れる大らかな人物だったようだ。前篇の主人公は沖田総司の義兄沖田総次郎、本編の主人公はその息子芳次郎。芳次郎はここにいない総司を彷彿とさせるかのように爽快で飄々としていて剣どころか銃の腕前も素晴らしい。ところが若いために人生経験は少なく、そのためにいくつか致命的な失敗を犯す。2019/06/11
信兵衛
33
庄内地方から天津~北京、そして薩摩へと、若い沖田芳次郎(沖田総司の甥)の冒険譚のような香りもある歴史ドラマとして、読み応え十分でした。2018/02/02
kawa
28
明治維新の際の新徴組の生き残り沖田芳二郎の目線から見た、西郷と大久保の対立を描く。維新の動きがつかめ有益だが、時間が空いたりで散漫な読書、靴の上から痒いところを掻くような印象になってしまった。2018/02/16
aloha0307
27
大河ドラマ”翔ぶが如く”以降、ついこの間まで、最も尊敬する政治家は大久保利通だったのですが最近は大きくぶれており、本書がそのダメを押した感がある。征韓論で西郷さん下野、萩の乱で江藤新平氏を粛清、西南戦争etc 天下国家のためなのか、自身の保身・栄達のためだったのか? 本書は西郷さんと庄内との親交に特化して描きます。新選組:沖田総司の甥 芳次郎が西郷さんの護衛だったなんて..(知って嬉しいです^^)国を治めるなら「天道」に沿うべき。勝つ負けるをつくらない..西郷さんのこの遺訓 今の政治家に聞かせてやりたい。2018/03/16