内容説明
名前は不明ながら「ナウムブルクの巨匠」としてドイツ美術史にその存在を残す石工と彼が刻んだ“永遠”―ロマネスク芸術の傑作として今なお大聖堂に立つ美しき石像ウータをめぐる豊饒な物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラッテ
1
魂がこもっている、よい小説だった。読後の味わいはすこしほろ苦いかも。2009/05/14
行加
0
翻訳家が多分本業だった、松谷さんの数少ないオリジナル小説。「中世文学集」の註に惚れて、その勢いで借りました!(*^_^*) 「ナウムブルクの巨匠」と呼ばれた石工を主人公にした、中世ヨーロッパの旅物語です。ある美姫に一目惚れした、石工(名前が無いw)が、その想いを胸に秘めたまま、イタリア、フランスへ修行の旅に出て、再び故郷へ戻って、彼女の石像を(依頼されて)彫り上げる。というお話。淡々と物語は進みますが、その文体がとにかく好きで、石工のストイックな恋心も素敵でしたv 歴史小説をもっと書いて欲しかったです
Zen-zen
0
登場人物が「生き生きとしていない」というか、彼らが作者の代弁者にしかなっていない印象。特にある人物が語る宗教に対する考察などは、いかにも現代人の視点という気がした。歴史的背景の挟み方も巧みとは言えず、「勉強して得た知識を書いてます」という感じ。美に出会い、それを自分が得意とする形式で表現したいという思いが昇華する様を読みたかったのだが、そこが描き足りないのは、この作者が自分の手で実際に物を作らない人だったからではないか。2012/06/13
-
- 和書
- ニュースの英語