内容説明
それは誰かの物語ではなく、あなたの物語である。現在を映し出し、私が写し出される、六年ぶり待望の短篇集。
著者等紹介
町田康[マチダコウ]
1962年大阪府生れ。町田町蔵の名で歌手活動を始め、81年パンクバンド「INU」の『メシ喰うな』でレコードデビュー。82年映画『爆裂都市BURST CITY』(石井聰亙監督)に出演、俳優としても活躍する。96年、初の小説「くっすん大黒」を発表、同作は翌97年Bunkamuraドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞した。以後、2000年「きれぎれ」で芥川賞、01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞、08年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
111
敬愛する町田康の短編集。最近は古典の口語訳に取り組んでおられる御大だが、「ギケイキ」で轟沈した俺にはそっち方面の彼の著作の面白味が理解出来ず、やはり町田作品はオリジナル物に限ると思っている。本作も7話収録のうち、1話と6話が古典物となっており、読むには読んだがさっぱり意味が解らず意気消沈したのだが。しかしそれ以外の5話はいつもの町田ワールド全開で笑わせてくれるし、その上なんと町田作品にはあるまじき事に、ちゃんとしたストーリー性まで感じさせてもくれる。さすがの町田、安定した面白さである。2023/09/26
HANA
65
歴史小説に一般日常を描いた作品と様々収録されているが、その底に横たわっているのはやはり自意識を持て余す人物を描く町田節。「楠木正成」「末摘花」は古典を再編するという著者お得意の走りみたいな話で、これが傑作『ギケイキ』に繋がると思うと感慨深いなあ。ただ自意識を持て余すという点では現代を舞台にしたのが秀逸。「ゴランノスポン」「先生との旅」とか読んでいてちょっと悲しいながらも、笑いながら読む。ただ「一般の魔力」だけは別でその寒々しさ等は下手なホラーを完全に上回ってる。これ一編だけで、本書を読む価値はあると思う。2019/02/21
そうたそ
44
★★☆☆☆ 半分面白く、半分ぶっ飛び過ぎててよくわからないというのが正直な感想。昔の筒井康隆を一瞬思わせるような作品たちでそういう意味ではこのバカバカしさが懐かしくもあった。とっつきやすく面白かったのは「一般の魔力」「二倍」。ヴィジュアル的にもインパクト大なのは「尻の泉」。もう説明するまでもなく尻から泉が噴き出しているわけである。バカバカしくも素晴らしい町田康ならではの作品だった。他は古典を基にしたような作品もありまさに色とりどり。合う合わないは人それぞれだろうがこのバカバカしさ一読の価値あり。2016/05/25
chanvesa
38
狂気よりエグさを感じさせる。「一般の魔力」は雰囲気がオコナーの短編っぽい気がする。「先生との旅」がこの本のなかではお気に入り。たまにある歴史物、「楠木正成」は面白かった。やるべきことをやっている、ことこそがかっこいいのだ。2015/01/14
クラミ♬
36
どの話も印象的だが「一般の魔力」あとあじワルかったぁ〰(^^;「末摘花」純粋に楽しめた…でも町田康さん…もう読まないかな(笑)2017/12/10
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