出版社内容情報
大竹伸朗の「貧者の栄光」、飴屋法水が24日間いた「暗室」、会田誠の絶妙な「へたウマ」、榎忠の「半刈り」――現代アートの最先端を挑発する批評の冒険!
内容説明
『日本・現代・美術』の著者が、モダン・アートの最先端を挑発する批評の冒険。
目次
希望のための、ささやかなテロ、のようなもの
K.K.の密室
「うまい」ことの煉獄
血染めのウィーン観光案内
火の山の麓で―三松正夫と昭和新山
バリ島、幽体離脱的文化ガイド
榎忠と「半刈り」の世界
真昼の星空、ラジオと彗星
二〇世紀の大きな振り子
文化における岩盤の露呈について
大竹伸朗―寒さと残酷さからなる響きのブルース
著者等紹介
椹木野衣[サワラギノイ]
美術評論家。1962年秩父市生まれ。同志社大学文学部文化学科を卒業後、東京を拠点に批評活動を始める。多摩美術大学美術学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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秋 眉雄
11
『「うまい」ことの煉獄』、『血染めのウィーン観光案内』、その他の章も面白かったのだけど、やはり最後の二章、大竹伸朗氏(ゴミを拾い、それを枠に収める作家)の作品を興奮を隠しながらも興奮が透けて見えてしまい、その結果として興奮が伝わってくるような、それでいて極めて冷静な丁寧さで紐解く評論が素晴らしいと思った。『どんなに権威的に振る舞ったとしても、美術館とは、遠からず巨大な粗大ゴミとしての廃墟と化す宿命を、少しだけ先へと押しとどめているだけなのだ。』どういうタイミングなのか5月30日、ゴミ・ゼロの日に読了。2016/05/30
ナカユ〜、
1
スーパー現代作家列伝2017/06/16
Taxxaka_1964
0
近年、ますます地学と芸術の重ね書きを確信犯的に遂行する筆者のある種記念碑的な批評書。 ここには「シミュレーショニズム」の革新や「日本・現代・美術」の驚きより、遥かに静かに深く潜む失われたところへたち現れる否応ない物の輝きと物悲しさのブルースが流れる。想像と表現の狂熱に冷水を浴びせる創造的反表現のすすめ。2015/08/28
イシュア
0
椹木さん、面白いなあ。 「芸術」の見方が変わります。2015/05/19
ボルボックス
0
後半は正直飽きたが、最初のア ヤの「ソクシン・ ン」がすごく良かった。これは、展覧会会期中の24日間アーティストが生存に最低限(本当に足りてるかは微妙)の水と食料を持って、光が全く射さない箱の中に入るというもの。作家は期間中一度も箱から出ることなく、外からのノックに対する返事のノックだけが彼の生存を確認できる唯一の方法で、その行動は確かに一歩間違え、作家が箱の中で死んでしまえば、展覧会の客全員を加害者にしてしまう。しかし、実際にア ヤは生存できたことから著者が言うように「テロのようなもの」でありえたのだ。2013/05/20