内容説明
北アルプスの麓で想像力の極限に挑み続けて30年。小説家は、ついに究極の趣味と出会った。純白の花、雑木の若葉、木ぬれにさえずる小鳥、花吹雪を呼ぶ風…生の悦びを歌う楽園を自らの手で造る日々。育て上げた逸品の数々もカラー写真で紹介。著者初めてのガーデニング・エッセイ。
目次
祖父の土地へ
防風のための樹を植える
土の匂いと、緑の風を肌で感じて…
野鳥を集めるためイタヤカエデの林をつくる
英国のホワイトガーデンを知り、思わずこれだと叫んだ
宵口に庭に佇むと官能的で忘我の境に浸る
電動刈り込み鋏の威力に感嘆の声をあげる
毛虫退治に窮してヒマラヤ杉などを次々と切り倒した
水撤きは単調で退屈だが、植物をじっくり観察できる
ブナの木の下に佇むと得もいわれぬ安らぎを覚える〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
moti moti
1
筆者は、今どき珍しい、自身の美学をしっかりと持っている人。私の感性とは合わないところも多いけど、その姿勢は共感できる。自分以外は全員馬鹿だと思っているかの様な記述があるかと思えば、失敗談も多くて、シニカルな笑いを狙っているのか、真面目なのかよくわからない。まあ、どちらにしても笑えるから良い。難解な小説を書いていそうな雰囲気(小説は読んだことがない)だけど、このエッセイはとても読みやすい。2025/05/22
紅ずきん
1
庭と作家活動にかける情熱が度を越している。天邪鬼と見切り発車の性格が災いして、地元の風習を真っ向から否定し我流でやってみては、失敗(=潔く伐採)を繰り返す。次はどんな失敗をするのだろう?と段々楽しみになってくる。若い頃は精神的にも肉体的にもマッチョであっただろう作者が50代半ばで安曇野の自然や寒さに逆らえなくなり、最終的には素敵な家、庭が作れそうな予感。お庭の全体像を拝見したくなった。2024/10/06
ジュースの素
1
2度目の読了。 若い頃はかなりハチャメチャな暮らしをしていた。結局、安曇野を出ずに広い土地に庭造りをするのにのめり込む。その顛末が書いてあるが、寒い土地で大変な労働だ。作家活動が主だから更に。 彼の出してくる植物の名前を調べると、やはりいい感じの花々が多い。それ以後、花の写真集を何冊も出すが、いずれも素晴らしい。2024/09/10
Oki
1
庭づくりは趣味ではないが、無理なく読めた。 家づくりについては、親近感を覚えた。2024/08/04
ペコちゃん
1
三浦しをん「本屋さんで待ち合わせ」で紹介されていたので、読みました。とても力強い筆致で、読んでいる方も力が入ってしまう感覚になるエッセイでした。趣味という域は、はるかに超えていて本当に凄すぎて笑えます!最後に、すごい小説を創り、凄い庭を造ることに後半生を賭けるとあるんですけど、この人なら絶対出来るだろうなという内容でした。小説も読んでみたいと思いました。2015/11/03




