内容説明
『檸檬』の作家の魂と時代を読み直す。大正から昭和の初期、ひとりの理科系の学徒は、何を考え、誰に出会い、どんな小説を書こうとしたのか―書き下ろし500枚、評伝の決定版。精神の生死をかけた冒険に挑み、世の現実の底を流れるものを見極めようと格闘を重ね、31歳で夭逝した梶井基次郎。その生い立ち・交友・読書生活などについて新資料を読み解き、新事実を検証しながら、創作の現場に立ち会い、梶井の生きた時代を再考する。梶井の現代的魅力を新たに発見する、梶井研究の集大成。
目次
1 20世紀のはじめ、大阪に生まれる
2 三高入学
3 自我と表現
4 放埓と懺悔
5 「青空」創刊まで
6 作家の誕生
7 新時代へのうねり
8 湯ヶ島の作品群
9 地球に痕を残す
10 現代の古典へ