出版社内容情報
火宅のわが家で「彼女」の眼差しが救いだった――妻、愛人そして愛犬との日々を赤裸々に綴り、中年男の心の危機を描く哀切の私小説。
妻より、愛人より身近な存在だった――ノンフィクションの名手が描く哀切の家族小説。火宅と化したわが家を救ってくれたのは、「彼女」の眼差しだった。妻との間に生じ始めた亀裂、仕事で出会った女性との心ときめく逢瀬、やがて迎えた家庭の崩壊。その中で二匹の犬との言葉を超えた交情が得難い安らぎをもたらす。だが、別離の時が訪れて……初老を迎えた男の心の危機を繊細に、赤裸々に描き切った哀感極まる私小説。
内容説明
犬は、かすがい。火宅と化したわが家を救ったのは、「彼女」の眼差しだった―。ノンフィクションの名手が赤裸々に描く哀切の「私」小説!
著者等紹介
杉山隆男[スギヤマタカオ]
1952(昭和27)年東京生まれ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て著作活動に入る。86年『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞、96年『兵士に聞け』で新潮学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
24
主人公に感情移入が出来ず、人間よりも犬が好きになる話でした。ななのラストの部分は胸に迫りました。2023/10/27
美葉
23
この話は、好きじゃない。途中で読むのを諦めようかと思ったけれど、最後の展開に期待して読んだ。うだうだと悩む「私」にはイライラする。ちゃんと奥さんと話し合って、犬も奥さんも家族として大切にしてほしいと思った。2020/03/13
アリ子
19
タイトルのイメージとは違う殺伐とした話で後味も悪かった。自業自得なんだけどね。私小説だとしたら、奥さんが可愛そう。2017/05/19
にゃも
15
図書館で表紙とタイトルに惹かれて手に取り数ページ読んで「よし、犬にまつわるエッセイだな」と確信して借りたのに、妻以外の女性に惹かれていく男の内面を綴った私小説だったとは!全然お好みじゃない。それでも読了目指してうんざりしつつも頑張っていたが、間の悪いことに途中で司法試験問題の漏洩事件なんてニュースがあり、この本の『私』と某教授の顔が重なり嫌悪感Maxになってしまった。どうにか読み終えることができたのは、「妻は味方をつくったのだ、絶対裏切らない味方を。」という一文のおかげだと思う。まったく、犬は最強だ。2015/09/12
ophiuchi
10
まともな交流が犬としか出来ない正真正銘のダメ男が主人公。太宰のグダグダ男の話が好きな人はどうぞ。2015/09/08