出版社内容情報
この女、一体何者なんだ――。磔 覚悟の道中は伏兵だらけ、守るべき奥方は妖しくも逞しく七変化。飛脚の矩を超えた三つの依頼の行末は?
内容説明
さる藩の江戸留守居役の奥方を西国へ逃がしてほしい―。ご法度を承知で危険極まる注文を引き受けた仙造。しかし待ち受ける伏兵をかわしながら隘路を進むうち、彼女はしだいに本性を現わし始めた…。遠国の脇道をも知り尽した通し飛脚。膂力と覚悟は人一倍ながら、活路の見えぬ時はある―。
著者等紹介
志水辰夫[シミズタツオ]
1936年、高知県生れ。1981年、『飢えて狼』でデビュー。1986年、『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、1991年、『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年、『きのうの空』で柴田錬三郎賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
baba
28
蓬莱屋シリーズ。前作より成長した鶴吉や頼もしい仙蔵が軟弱手下や女という足手纏いを伴い困難な状況の中で務めを全うしようとする仙蔵たちが凄い。スリリングな展開を楽しんだ。2017/03/31
楽駿@新潮部
24
川崎図書館本。蓬莱屋シリーズ3冊目。今回は、今までの2冊と少し色合いが違う感じ。男性の書く江戸ものにしたら、街中の暮らしに重きを置いた書き手だと思っているが、侍色がやや強くなった気がする。お家騒動あり、武士の強がりあり。けれど、最後の「山抜けおんな道」を読むと、やはり庶民を描く上手さが際立つ。この作品は、中でも女のしたたかさも。今、中山道を歩いているので、これからの街道の流れも、勉強になっている。今より、はるかに移動が難しかった時期、表街道、裏街道、どんな物語が存在したのか、考えるのも面白い。2020/01/23
真理そら
22
『なまくら道中』『峠ななたび』『山抜けおんな道』の三篇。タフな男ばかりではなく長八のような人間臭いのも揃えているのが蓬莱屋。『峠ななたび』はこのシリーズでは異色(普通の時代小説っぽい)。相変わらず現実的な女が登場する『山抜けおんな道』。もものような生き方もできるのが女の強さかも?「おんなどう」と読みたくなる。エンディングの仙造がハンフリー・ボガードに見えてくる。2018/06/12
アルラ
12
蓬莱屋帳外控シリーズ第三弾。今回もなかなか捻りが利いた三編だった。冒頭からいろいろ引っかけがあって、何度か行きつ戻りつしながら読んだ。途中もふっと過去へ飛ぶ箇所があったりして気が抜けない。それがシミタツ節のたまらないところなんだけど。勝五郎の元に集まる男たちのかっこよさったら…経験と技量はもちろんのこと、法度すれすれの依頼を命がけでやり抜く意志と度胸も備えている。これが惚れずにいられようか。脇役も魅力的な女たちやおおらかな家族が印象的だった。一度はこんな男たちを手玉に取ってみたいものだ…なんっちゃって(笑2011/11/08
いざなぎのみこと
6
職人気質の飛脚の姿を描いた時代小説第3弾。今回は西方への旅、武士が関わる旅が書かれていて、今までと違った印象を受けました。それでも魅力的な荒事、迫力満点なチャンバラがしっかり組み込まれていて、大満足でした。やっぱり仙造がカッコいい。2012/07/10