出版社内容情報
この女優に付いていってはいけない──。混乱と不安の世界に迷い込んだ小説家が、母の声に導かれ彷徨う。5年ぶり待望の長篇小説!
内容説明
この女優に付いていってはいけない―。小説家は、母の声に導かれ彷徨い続ける。『限りなく透明に近いブルー』からひと筋に続く創造の軌跡!5年ぶり、待望の長編小説!
著者等紹介
村上龍[ムラカミリュウ]
1952年長崎県佐世保市生まれ。武蔵野美術大学中退。大学在学中の76年『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。81年『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、98年『イン・ザ・ミソスープ』で読売文学賞、2000年『共生虫』で谷崎潤一郎賞、05年『半島を出よ』で毎日出版文化賞、野間文芸賞、11年『歌うクジラ』で毎日芸術賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
210
新型コロナウィルス対策購入シリーズ第36弾、村上 龍は、40年以上に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者5年ぶりの新作小説は、私小説的幻想譚でした。従来の作品になかった静けさ、著者は自らのルーツ&死を意識しているのでしょうか? https://www.shinchosha.co.jp/missing/2020/05/09
いたろう
79
村上龍、5年振りとなる作品。「55歳からのハローライフ」「オールド・テロリスト」と続いていた、分かりやすい小説から一転、非常に観念的な小説。語り手の「わたし」は佐世保出身、父親が美術教師、母親も教師という、著者本人かと思わせる小説家。もちろん、実際の村上龍は、結婚して子供もいるようなので、この「わたし」は、本人そのものではない。しかし、この著者の分身である「わたし」が、今、見聞きしていること、それは現実なのか、夢想なのか。現実の「わたし」は、一体どこにいるのか。MISSINGとは、終点すら失われた物語か。2020/08/05
優希
63
幻想感漂う作品でした。自伝的であり、フィクションでもある。静かに紡がれる物語は美しく、引き込まれました。現実と夢の境がないからこそ出来上がる世界に酔い仕入れるのが心地良かったです。2021/03/18
とくけんちょ
55
何がほんとで何が幻想か。一応読み切りましたが、誰かの解説なしじゃ話が見えてこない。母の愛は、自分自身のなかにあるのか、父への憧れや反発は母の目を通して見たものなのか。難解でした。2020/06/14
キク
54
龍が父について語っている。事実をそのまま書いているわけはないだろうけど、逆に語りたい「自分にとっての父」が描かれている。いままで家族のことを語ってこなかった春樹さんと龍が、ほぼ同時期に父について自ら語り出したということは、二人が自らのキャリアの終わりじまいを意識し出したんだと感じた。そうだよな、冷静に考えて、二人の新作をこれから10作以上は読めないんだよな、、、。本筋には関係ないけれど、主人公(明らかに龍が投影されている)を診察するカウンセラーが優秀すぎてビビる。一回診断を受けたいと思ってしまった。2021/05/12
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