乗合船―慶次郎縁側日記

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  • サイズ B6判/ページ数 242p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103892236
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「二十年の恨み」そう言って男は晃之助を刺した。それは義父・慶次郎への復讐なのか? 著者の絶筆までを収録したシリーズ最終巻。

元同心・森口慶次郎、最後の事件。著者入魂の傑作シリーズ、ついに完結! 「二十年の恨みだ」男はそう言って晃之助を刺した。それは義父である慶次郎に向けられた復讐の刃ではなかったのか。やがて浮かび上がる一人の罪人とその切ない人生に、「仏」と呼ばれた元同心は何を思う――。いつの世も変わらぬ苦悩と人情がここにはある。円熟の境地でこの世を去った筆者の絶筆までを収録したシリーズ最終巻。

内容説明

旦那は鬼だね―。「仏の慶次郎」を二十年恨み続けてきた男は、その凶刃を聟の晃之助に向けた。慶次郎の胸に去来するのは怒りか、後悔か。病床で書き上げた執念の絶筆「冥きより」を収録。著者、渾身の一巻。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイプ

16
北原さんの描くこのシリーズが好きで、本を開けばいつでもどんな場所でも慶次郎や佐七に会うことができました。もうそれも叶わないと思うと寂しいです。「俺、旦那が寮へきてくれなすって、ほんとうによかったと思っているよ」「俺もだ。七つぁんがいてくれて、ほんとうに嬉しい」二人の会話は北原さんからの贈り物に思えて、何度も何度も読み返していました。 2017/09/02

baba

16
いよいよシリーズ最終章、残り少なくなるページが名残惜しい。慶次郎と、とりまくおなじみの人々と市井の人々の哀しみ辛さを交えて日々を綴る。人生、夫婦の行き先をたとえる表題の「乗合船」が良かった。「冬過ぎて」は自分の不満ばかり思っていた妻が夫も不満が在るが黙っていた事に気づき、家に帰るのを心配してついてくる慶次郎の姿が心に残る。最後の「冥きより」が北原さんを思い出して切ない。合掌。2014/06/26

星落秋風五丈原

16
みんな別々の人生を歩んでいたところが たまたま乗り合わせただけ。そのまま乗ってゆく定めの人、離れてゆく人、様々あり。人の機微を描くのがうまい作家の最終作品。2014/04/24

さいちゃんの母

15
慶次郎、年取りました。'松の内'では佐七に上手く胸のウチを吐かせて。'春の雪'では岡っ引き太兵衛に人助けの仕事をさせ。'おふくろ'は不出来の息子にお前の倅で良かったと、言わせ。'乗合船'は慶次郎の過去の裁きと玄庵の養子風間春宅の旅立ちを。'冬過ぎて'は長年連れ添った紙問屋末広のおかみが胸のつかえを慶次郎に吐き出し、相手の不満に気づく。最後まで見届ける慶次郎。はなかつみ。'吉次の値打ち'は蝮の吉次の過去の誤認逮捕への吉次流始末の付け方。最後が'冥きより'。'冬過ぎて'、'吉次の値打ち'が良かった。2014/05/15

うみろー

14
流石の鉄板「慶次郎縁側日記」。「おふくろ」でジーンときて「乗合船」で晃之助への理不尽さとやっぱりカッコいい慶次郎に触れ「はなかつみ」でのおきちの身勝手さに身震いし「吉次の値打ち」で無罪で死んだ安次郎の不憫さと、吉次の鼻摘み者なりの優しさを知る。そして、これが最終巻であることを読メのあらすじで知る。北原亞以子さん。本当に素晴らしい作品をありがとうございます。2015/11/15

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