内容説明
「今小町」と謳われた京都室町の娘、おさんは大経師の浜岡権之助に見初められ、嫁入りした。大経師は京の暦を開板し、諸役御免を許された特別な家。が、おさんには想い人がいた。権之助は改暦の噂を耳にし、家の存続と拡大を画策していた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
8
京都室町の娘おさんは、大経寺の浜岡権之助に見初められ、嫁入りした。が、おさんには想い人がいた。一方、権之助は家の存続と拡大を画策していて…。恋に惑い、商いにのめりこみ、破滅への道に迷い込んだ女と男たちを描く。2013/07/09
アリ子
1
実際に江戸時代にあった話と言われると感無量。夫のある身で不倫したら磔なら、今だったら磔の人だらけではないだろうか?井原西鶴や近松門左衛門が出てくると幕間に一服みたいで、お芝居を観ているような感覚だった。暦の話も詳しく語られ「天地明察」と合わせて読むと良いと思った。2012/04/08
アルラ
1
実際に起きた事件を土台にして、現代人にも通じるような運命的な男女の情愛を描いている。井原西鶴と近松門左衛門がこの出来事をしるした作品は歌舞伎や浄瑠璃で残っているのだが、話の中で傍観者として登場する。軸となる女たち三者三様の生き方、愛し方をきめ細やかに織り込んでいる。こういうどろどろした色恋は正直苦手なのだが、読んでいるうちに「誘惑」というのは男女のそれもあるが、利を求めるがゆえに誘いに乗せられ足元をすくわれたり、悲願を叶えるため大切な物を手放してしまう人間の業の深さも含んでいるのだと気が付く。09/07読2011/04/04
yearning for peace
1
大経師の浜岡権之助に見初められて嫁入りしたおさんと生一本で二枚目の手代・茂兵衛が不義密通する実話『おさん茂兵衛』をモチーフに、権之助の暦作成の話、悲願の士官の道を何とか獲得したい夫婦の話、先代の事業から転換し江戸での事業を拡大しようとする商人の話など、それぞれの誘惑がテーマにもなっている。「江戸」の章から一気に一日で読了。読み応えのある作品。再読の価値あり。2009/08/16
まろねーず
0
北原作品初挑戦。すべての登場人物に魅力を感じない。おさんと茂兵衛が磔を覚悟しながら相手を思い恋い焦がれる心情が全く伝わってこない。結局、相手の容姿だけ?2012/10/09