内容説明
目の前で父が殺された。敵が現れる、十一年後に。平穏な暮らしは狂い始める。かかわりのあった、すべての者を巻き込んで。年端のいかぬ子どもだったが、そいつの顔は眼に焼きついている。なぜ父は刺され、敵は逃げおおせたのか。罪のない娘を奪われた慶次郎の古傷も疼きだす…。円熟と渾身の傑作。親と子、男女の溝に挑む好評シリーズ初の長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイプ
20
慶次郎縁側日記シリーズ。今回は長編です。登場人物も多く、それぞれのかかわりも複雑で読み進めるのにちょっと苦戦しました。『大粒の涙が頬をつたうのを見たが、あの涙は頬を焼くように熱かったにちがいない』どんな過去を背負ってどんな思いを抱えて生きて来たのだろう。男と女、親と子、兄弟、どうにもならない関係の中で。薄ぼんやりとした月明かりの中では物事も人の顔もはっきりと見えない。ただみんな幸せになろうと必死なだけなのに。。。2017/01/06
みかりん
6
今回は長編です。登場人物が複雑なので 読むのに時間がかかりましたが、面白かったです。どこで歯車が狂ったのか。嬉しい、有難い、って気持ちがもっと早くわかれば 違った人生を送れたのに。2018/08/15
ひろん
4
今までが短編だったので、まさかの長編にびっくり。一つの事件に絡み合う人間模様が複雑で、いつもとは違った感じでした。2014/04/12
mikeneko56
2
珍しく長編。それにしても、惚れた腫れたは他人がどう関わろうと如何ともしがたいものだと判ってはいるが、長い年月に亘る今回の登場人物達の複雑すぎる立ち位置に頭が痛くなった。しがらみや思惑があるとしても、どこかできっちりと線引きしないからここまで拗れたのではないか。世の中、全てを白か黒と割り切れるものでもないが、後味の悪い幕引きにため息。辛いことの多い人生だから、いい思いだけして幸せに生きていけるように、そうありたいと努力すれば、少しは違うのだろうか。2025/05/29
中身はおじさん
1
うーむ。今回はかなり頑張って読みました。共感できるジンブツがいない。なぜそんなに執着するのか、わからないですよ。執着なんて、不幸しか生まないわよ、多分。好きになった相手には、幸せになってもらいたいけどなぁ、私は。そうだよ、よく目を凝らしてみれば、幸せなこと、有りがたいこと、たくさんありますよ。今回も、佐七に助けられて、読了2023/01/14