内容説明
中央停車場の工事現場で働く青年、自由恋愛を夢見て東京へ出てきた娘、ステーションホテルを舞台に女に声をかけ結婚詐欺を繰り返す男、化粧室で変身し男を誘って小遣い稼ぎをする女教師…東京駅に繰り拡げられる人間たちのドラマを、鉄道と町の発展を背景に描き、著者の新境地を示す短篇連作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kazu@十五夜読書会
37
物語は煉瓦の駅舎東京駅明治の建設当時から昭和の終戦直後に至るまで駅が紡いできた年月と、そこで交錯した人生を人情語りの名手・北原亞以子が丹念に描く、男と女の九つの物語。中央停車場の工事現場で働く青年、自由恋愛を夢見て東京へ出てきた田舎娘、ステーションホテルを根城に結婚詐欺を繰り返す男、化粧室で変身し男を誘って小遣い稼ぎをする女教師……。明治・大正・昭和の激動期を通して、複雑に絡み合う人間模様を「グランドホテル形式」で描く。各章で登場の人物のリレーが面白い構成。時代劇でない亞以子調を!。2013/04/13
ko-sight
1
明治時代に作られ始めた東京駅から、終戦後の東京駅を背景にかかれた物語。東京駅に関わり新しい人生が始まり、また東京駅に戻るその間の人生のはかなさを感じた。2015/09/14