内容説明
土葬の習俗、渡来文化の影響。京都と若狭を結ぶ近江の地には、日本の「古層」が秘められている。七百年つづく旧家に生まれた著者が、家と人と土地の記憶を掘り起こす歴史随想。
著者等紹介
饗庭孝男[アエバタカオ]
1930年、滋賀県生まれ。南山大学文学部フランス文学科卒。青山学院大学名誉教授、文芸評論家
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感想・レビュー
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ぱせり
4
一家の暮らしが郷土の風景に密接に結びついていく様を読む喜び。それから、嘗ていた人たちに対する懐かしさと敬意と。遠い昔の漠然とした地域の集合体から語り始められ、一筋の川が鮮やかに浮彫になってきたように思われた著者の家の歴史は、細部に渡れば渡るほど、再び、大きな共同体に帰っていくような感じだ。2023/07/24
mochico
2
滋賀にまつわるある家族を数代にわたって記した作品。読後の、この重苦しさは何だろう。時代の波の中、市井に生きていた一家族。その物語は、戦前、戦中、戦後と続いている。ドラマのように、勧善懲悪でも、主役が当然のようにハッピーになるわけでもないからか。2015/07/15