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内容説明
14歳から海に出ていた漁師の俺が船の上で見てしまった黄白色の閃光、そして降ってきた灰…。何が何だか分からないうちに俺の人生は激変した。ただただ忘れたいあのことだったが、あまりに続く仲間たちの死にもう黙っていられない―。町の片隅のクリーニング屋でアイロンをかけながら俺は考えている。あのことは一体何だったのか、と。衝撃の手記。
目次
1 被爆(謎の閃光;運命の船出;白い灰;焼津へ帰港;国立東京第一病院へ;久保山局長の急変;病室で迎えた成人式)
2 生いたち(ふるさとの海と船;「神国日本」の子どもたち;頭上のB29爆撃機;敗戦と父の死;十四歳の漁師;南洋できいたワルツ)
3 東京へ(漁師からクリーニング屋へ;三人の誓い;被爆者の涙;夢の島の第五福竜丸;よみがえった「廃船」)
4 新たな航海(「ラジオ日本」への投稿;たかが模型船されど模型船;お母さんたちのパワー;高校生とビキニ事件;仲間たちは次々と天へ;あれが東京ドームだ;原子力と原子病)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポルトン
37
ビキニ環礁でアメリカの水爆実験に遭遇、被爆したマグロ漁船「第五福竜丸」の船員だった大石又七さんの手記。被爆から約2週間後に焼津に帰港、帰港後2日ほどしてはじめて水爆実験と自分達が被爆した事実を知らされる…その後船員を襲う放射能の恐怖と後遺症! 次々に倒れる仲間…広がる海洋汚染… 夢の島に打ち捨てられた第五福竜丸… 寒気を覚える内容でした。2018/04/15
katsukatsu
8
「東京ハイダウェイ」を読んで第五福竜丸に興味を持ち、手にとった本です。昭和29年の南太平洋、アメリカの水爆実験で死の灰をあびた第五福竜丸の船員、大石又七さんがその半生を綴った物語。過酷な入院生活と退院してからの周囲の目。当時の人々の対応。そこには一人の船員、一人の市民の目を通した何も飾らない心境が綴られています。そして声に出さずにはいられなかった。大石さんが残したこの一冊は、今後も生で語られた記録として、いつまでも残ってほしいものですし、その価値のあるものだと思います。絶版のため図書館でお借りしました。2024/09/15
D21 レム
4
1954年の第五福竜丸の乗組員だった大石又七さんの最初の本。大石さんの語り口は、率直で明晰でとても読みやすく、よくわかった。次から次へと仲間が亡くなっていく無念と怒り。理不尽な状況。そんな中で、目が見えない高校生にわかってもらうために模型船を作る。その発想が大石さんらしい。船でも子どもの五本指の手袋を編んでいたという手先が器用な人。広島長崎の資料館にある模型船は大石さんが作ったもの。誰にも読めて共感できる良書。2012/06/16
あさつゆ
2
第五福竜丸事件で被爆した大石又七さんが、どんな思いで生きてきたかが書かれた本。一緒に被爆し、亡くなっていった仲間への思いも伝わってくる。大石さんが訴える言葉には、とても説得力がある。大石さんたちの思い、生きざまを受け止めて、自分の人生を考えていきたい。第五福竜丸事件は、広島、長崎に原爆が投下された事実とともに、伝えていかないといけないと思った。2013/08/18