ちょうちんそで

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103808107
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

いい匂い。あの街の夕方の匂い──人生の黄昏時を迎え、一人で暮らす雛子の元を訪れる人々の秘密と雛子の謎。記憶と愛をめぐる長篇。

取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる――闇の扉を開く新しい長編。いい匂い。あの街の夕方の匂い――人生の黄昏時を迎え、一人で暮らす雛子の元を訪れる様々な人々。息子たちと幸福な家族、怪しげな隣室の男と友人たち、そして誰よりも言葉を交わすある大切な人。人々の秘密が解かれる時、雛子の謎も解かれてゆく。人と人との関わりの不思議さ、切なさと歓びを芳しく描き上げる長編。記憶と愛を巡る物語。

内容説明

取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる―雛子の謎が解かれるとき、伝えられる人生の秘密。切なさと歓びが暗闇から掬い上げられる、全く新しい長編。

著者等紹介

江國香織[エクニカオリ]
1964年東京生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞社主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞を受賞。「409ラドクリフ」(1989年フェミナ賞)、『こうばしい日々』(1991年産経児童出版文化賞、1992年坪田譲治文学賞)、『きらきらひかる』(1992年紫式部文学賞)、『ぼくの小鳥ちゃん』(1999年路傍の石文学賞)、『がらくた』(2007年島清恋愛文学賞)、『真昼なのに昏い部屋』(2010年中央公論文芸賞)、など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

115
どんな人間にも過去があって、今しあわせに他人の目には映っても、ほんとうは幻のように儚いしあわせかもしれない。失踪してしまった妹の影と暮らす雛子の狂気。でもそれは本当に狂気なのだろうか?ビスケットをミルクティにひたして食べる、わざわざ遠くの本屋まで本を買いに行く、おつりが50円玉と10円玉だったこと、夕方のピアノ、幸せだった頃の記憶の中に妹の影がある。一見つながりが無いような登場人物たちが、実は密接につながっていて、それぞれの「今」を生きているという展開は見事。過去と今の、罪と罰の、そして記憶と愛の物語。2013/09/04

あつひめ

112
生活臭のしない、だけど生きている感がする江國さんの独特の世界。姉妹や友人が対照的な物の捉え方をしていたり生き方をしていたり。なのに、お互いがバランスよく相手の話に耳を傾ける。時の流れと記憶の断片が積み重なって散らばって。人の人生って誰とも交わって入れ替わったりできない。交わってもまだまだ自分の人生のまま。当たり前だけどおひとり様おひとつなのだ。読書していると時々、自分の人生から飛び出して主人公の人生に便乗しちゃったり。高齢者介護付きマンションなんて絶対は入れないから物語の中で体験させていただいた。2013/04/30

アン

101
主人公雛子は、失踪してしまい現在は会うことのない妹を持つ50代半ばの女性。彼女は架空の妹と仲良く会話を繰り返しながら、日常を穏やかに過ごしているように見えますが、過去の出来事により、息子たちとの関係も複雑です。雛子を取り巻く人々もそれぞれ問題を抱え、今暮らす場所で慎重に自分の身を守りながら生きているようで切ない気持ちに。人はひとりで生きていけるほど強くはなく、自分なりに人と関わり、平穏な日常を望んでいるのかもしれません。ノスタルジアを抱くタイトルが江國さんらしく、かけがえのない時間が戻ってくるよう。 2020/02/05

ちょろこ

77
なんとも不思議な一冊。なんでしょう、この不思議な感覚。つかめそうでつかめないというか、物語の核心を見せてもらえないような終始ふわふわとしたような物語だった。読んでいても居心地は悪くない、むしろ心地良ささえ感じるのは 流れるような美しい文章のおかげかもしれない。雛子の、記憶に包まれて生きる姿はなんだかうらやましくもある。幸せを感じる時間は歳をとればとるほど必要かも…そんな気がした。2018/07/25

おくちゃん🌸柳緑花紅

77
図書館でその装丁の美しさとタイトルに一目惚れして連れ帰った一冊。江國香織さんの世界にとっぷりと気持ちよく浸りました。日常はそれだけで恩恵。過去と現。最後の2行が一際美しい。2014/04/07

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