内容説明
これは愛の讃歌であり、愛の鎮魂歌である。新婚旅行での“愛”を記録、私家版『センタメンタルな旅』から21枚。妻の死の軌跡を凝視する私小説的写真日記『冬の旅』91枚。既成の写真世界を超えて語りかける生と死のドラマ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
60
アラーキーの人生を赤裸々に写したもの。写真とはそういうもの。真実を写す。写真家の業を見た。2020/10/28
国士舘大学そっくりおじさん・寺
53
名作の誉れ高いアラーキーの写真集。恥ずかしながら初めて見た。初めは愛妻ヨーコ夫人との新婚旅行を写した『センチメンタルな旅』。奥さんのヌードが赤裸々な印象を受ける。しかしその後の『冬の旅』は切なくて参った。病に冒されたヨーコ夫人の死の直前と死後の風景。入院してからアラーキーに送ったヨーコさんの言葉。病院への行き帰りの景色。余命いくばくも無いと知って遠くまで歩く帰路。飼い猫チロの愛らしさ。病床で「死にたくない」と首を振るヨーコさん。葬儀の様子。焼いた後の写真。これは本当に名作だと思う。本当に素敵だ。2015/07/10
lonesome
41
陽子さんの遺影に使ったポートレイトを越えるものはもう撮れないというアラーキーの言葉が確かにそうかもしれないなと思うほど、この二人の出会いからの絆が写真に切り取られている。写真に日付が入ってることによって幸せだった日々も陽子さんを失うことになる日が近づいていくことも余計に見る者の心に迫ってくるように感じた。2015/11/23
こばまり
35
ここ最近陽子さんが遺したエッセイ等を読んできたので、23年ぶりに【再読】。あまりの痛ましさに慄然としました。自分が当時の陽子さんの年齢に近付いてようやく、描かれている悲しみや無念、喪失感の一端を理解できた気がします。2014/07/16
ネムコ
32
「古書カフェすみれ屋」で知った本。全編モノクロの写真集。ベターハーフとは、このような御夫婦をいうのか。沈んだ風景の中で、飼い猫のチロちゃんだけは旺盛な生命力を感じさせる。2017/12/17