出版社内容情報
沖縄に生きて、その歴史と文化に根ざした創作を続けて来た89歳の作家の、川端康成文学賞受賞の初の私小説と新作を収録する小説集。
川端康成文学賞受賞記念の短篇集。「沖縄の私小説を書いてきた」作家の新境地。沖縄に生きて、その風土を呼吸しながら創作を続けてきた八十九歳の作家の、初の私小説。時の移ろいを生き抜く老年の日常。妻の入院をきっかけに、出会ってきた人々の面影とともに、遠い記憶が鮮明に蘇り、いまを生きる私を、強く激しく揺り動かす――川端康成文学賞を受賞した表題作と新作『病棟の窓』を収録する、最新作品集。
内容説明
沖縄に生きて、その風土を呼吸しながら「沖縄の私小説」を書いてきた89歳の作家の新境地―初めての私小説。川端康成文学賞を受賞した表題作と新作「病棟の窓」を収録する最新作品集。
著者等紹介
大城立裕[オオシロタツヒロ]
1925年、沖縄県中城村に生まれ、43年、上海にあった東亜同文書院大学予科に入学したが、敗戦による大学閉鎖のため中退。戦後は、琉球政府通産局通商課長、県立博物館長などを務める一方、敗戦直後から青春の挫折と沖縄の運命を繋ぐ思想的な動機で文学を始め、59年に『小説琉球処分』の新聞連載開始、67年『カクテル・パーティー』で沖縄初の芥川賞作家となる。戦後の沖縄文学を牽引して、沖縄の歴史と文化を主題とした小説や戯曲、エッセイを書き続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃっぴー
13
川端康成賞を受賞した表題作より「エントゥリアム」のほうが印象に残ります。沖縄からハワイに移民し70年の、余命いくばくもない祖父を訪ねていく孫。作中に「ホレホレ節」が出てくるが、この曲を知っているだけに思わずリズムに乗せて口ずさんでしまいます。移民一世の苦労がしのばれます。「ホレホレ」とはサトウキビの枯葉を剥ぐことだったんですね。2015/11/19
信兵衛
13
昨今では“私小説”は珍しく、沖縄を舞台にした短編集は嬉しいもの。 表題の「レール」とは、那覇市内のモノレール“ゆいレール”のことです。2015/09/25
ヨノスケ
12
大城立裕さんによる沖縄を舞台にした短編集である。前半の2編は私小説になっている。全体的に沖縄ならではの方言や風習がそこかしこに出てきて、とても興味深かった。中でも孫がハワイに招かれる「エントゥリアム」は郷愁を味わえ、とても印象に残るものである。本書は地元出身の作家さんならではの本物の沖縄の風土と暮らしが息づく作品であった。2022/07/30
みさ
6
確か、私の母校の校歌も大城氏が作詞をしたと思うのだけれど…まぁ、沖縄の人間なので、出てくる固有名詞への違和感もなくしっかり理解できた。巫女(ユタ)の話が興味深かった。大城氏は沖縄初の芥川賞作家でもあるので、機会があればまた読んでみたい。2018/03/08
言葉
5
沖縄のことが良くわかる本 て、何かで見て読みました。観光でしか行ったことなくて、そんなイメージしか無かったんだけども。向こうの人と話してると温かくも時々冷たいなとちょっとだけ思ったりしたことがなんとなくわかるような気がする本でした。私小説の2編はちょっと重くて突然生活が変わることは誰にでも簡単に起こるって頭に浮かんで怖かった。「まだか」はイラッとした。「天女の幽霊」が一番好き・・・かな?2015/11/09