内容説明
文化文政の芝居町、江戸に悪の華を咲かせたふたりの鬼才がいた。『東海道四谷怪談』、『桜姫東文章』で名高い四世鶴屋南北。けれん役者として一世を風靡した初代尾上松助。若き日の彼らの出会い、大坂で見た地獄、そして最後にうたった一世一代の大博打を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
安南
35
皆川氏描く歌舞伎の世界は『花闇』然り『写楽』然り、最高なんです。こちらも大満足。ああ言えばこう言う江戸前啖呵の小気味良いこと!スカッとします。「芝居小屋は蜜をまぶした蜘蛛の糸」絡め取られた魑魅魍魎の輩が派手なけれんをみせてくれる。ああ、日本人でよかったと心の底から思わずにはいられない艶と粋を極めた文章。うっとりと酔わされて酩酊状態。こちらは鶴屋南北の下積み時代にスポットを当てたものなので、願わくば、仕事に油がのりきった壮年後の南北も書いて欲しい〜2014/02/18
ori
8
南北って大器晩成だったんだ。さあこれからというところで終わるので成功してからの世界をもっと読みたかったなあ…残念。役者に惚れ抜いて作者にならんとする南北を巡って描かれる世界が南北作品そのもののようなところが上手い。それも綺麗綺麗な現代の歌舞伎的なものではなく、三島由紀夫が言っていたくさやの干物のように非常に臭いのに美味しい味があるというちょっと昔の歌舞伎の世界のような。2020/07/26
mamiko_w
3
しびれる。2014/08/07
さかえさん
1
役者に惚れて、立役者を目指した若き日の鶴屋南北の「悪」と「毒」にしびれましたね。いやはや、さすが皆川博子さん。 この人の描く歌舞伎の世界は決して美しくなく、むしろ薄ら寒い程のドロドロ感に満ちているのに、だからこそ取り憑かれてしまった人達の業が行間に滲み出て怖いくらい迫力がある。 私に歌舞伎や文楽を教えてくれたのは父だったけれど、そこで教わったのは芝居の表の顔。皆川さんが描くのは裏の顔。どちらも私の心を捉えて離さない。2015/07/29
mitsuru1
1
歌舞伎の怪しい魅力と一人の役者に惹かれて作者を目指した若き日の鶴屋南北を描く。二十年以上前の作品。悪くはないけどやはり欧州物が好きです。2013/02/13
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