感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
48
二十数年ぶりの再読。日の丸を付けた黒人選手がオリンピックで大活躍するという設定で、メダル至上主義や国籍問題に一石を投じた表題作の他、1年12ヶ月を均等に30日ずつにし、残る5日間は全ての経済活動を停止するという「無名の日」、地球最後の楽園からやってきた純情青年を通じて現代日本の姿をシニカルに描く「日出ずる国のトポフ君」、住宅展示場のモデルハウスに住んで理想の家族を演じることになった一家の顛末を描く「ホモ・アピアランス」など、どれも読む者の固定観念を揺さぶる好短編ばかり。謹んで哀悼の意を表します。2015/03/04
Hiro
1
ほとんど40年前の風俗小説なのに決して古びていない。携帯とインターネットと宅配が出現し世の中は随分変わったようでも昔も今も問題は問題ということか。特に表題作の主張は鋭い。スポーツ界では昨今外見上はそうは見えない選手が日本人として大活躍するのを見るにつけ、ことにオリンピックのようなナショナリズムが掻き立てられる大会の場で、国籍によって選手を区別することに意味があるのかと思う。本書に言う通り、オリンピックは現行の国別対抗戦のやり方を改め国旗や国歌の披露も止めて同好会的なグループでのエントリーにすべきだと思う。2021/12/17
1977年から
0
1990年