出版社内容情報
彼女の世界に音はなく、謎ばかりがあった。新潮ミステリー大賞優秀賞受賞作。名探偵・斑猫雪羽の遺児、斑猫キリカ。ミステリ作家志望の岩崎理人は、聴覚障害を抱えるキリカと怪しげな実験に参加するため孤島へと渡る。無視される懊悩、届かない無力さ。痛みを知らないひとに探偵は務まらない。巨匠エラリー・クイーンが生んだ聾の名探偵ドルリー・レーンに捧ぐ、本格愛に満ちた孤島ミステリ!
【目次】
内容説明
名探偵のように振舞えない。奇跡だって起こらない。でも、私はこの島で謎を解く。名探偵・斑猫雪羽の遺児、斑猫キリカ。ミステリ作家志望の岩崎理人は、聴覚障害を抱えるキリカと怪しげな実験に参加するため孤島の館「月形邸」へと赴く。そこで掛けられたのは、アルチュール・オネゲルのオラトリオ『火刑台上のジャンヌ・ダルク』を聴くと眠りに落ちるという奇妙な暗示。館に音楽が鳴り響き、やがて惨劇の幕が上がる―無視される懊悩、届かない無力さ。この痛みを知らないひとに探偵は務まらない。巨匠クイーンが生んだ聾の名探偵ドルリー・レーンに捧ぐ、本格愛に満ちた感涙の孤島ミステリ!第12回「新潮ミステリー大賞」優秀賞受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
127
聴覚障碍者の探偵という設定からクイーンの「悲劇四部作」のオマージュなのは明らかだが、キャラの作り方から物語の構成までクイーンの正反対を指向したとしか思えない。ドルリー・レーンがクローズドサークルでの連続殺人事件に挑んだらと着想したのだろうが、事件関係者が事前に入れ替わっていたり斑猫キリカが捜査にあたる強引な経緯など、あまりに都合の良い舞台と登場人物ばかりで鼻につきすぎる。まともな大人が不在で特異すぎる過去持ちが多く、論理的推理を主眼とする本格ミステリとは言い難く、特殊設定物だと紹介されても通用するだろう。2026/09/29
geshi
21
ドルリー・レーンと重ねた名探偵像にも関わらず、事件の舞台は孤島にある奇妙な館という本格ミステリの様式で、噛み合わせが悪く乗れなかった。斑猫キリカと岩崎が探偵として謎を解くことに固執しているのが異様に見えてしまい、娘のことを気にかけない父親や、障害者への偏見を露わにする老害や、偏見に極度に反発して殺意すら向けてしまう人など、あまりに特異な人物がありすぎて飲み込みにくい。犯人当てロジックは期待以下で、最後のどんでん返しに驚きはしたが感情的には「そこまでするか?」と思ってしまう。2026/10/05
ガットウ
21
★★★3.9点。新人さんらしい尖った内容!この手の作品は好みが別れるのは仕方ないかな。2026/10/03
結城綾
20
今年度刊行されたミステリの中で、一番面白い作品だと思います(※9/14時点)。592pは多い?関係ない、読めば分かる。障がいを取り扱っているとか関係なく、純粋に面白いしミステリとしても完成度が高いです。2026/09/14
ア・トイロッテ(マリポーサとも言う)(各短編の評価はコメントで)
18
★★★★8 聴覚障害者の名探偵と助手が孤島で連続殺人事件に遭い、解決していくという内容である。聴覚障害者のミステリ読みとして、共感できる内容は多い。作中では頻繁にエラリー・クイーンの悲劇四部作を引用しており、作中を通して語られるドルリー・レーンシリーズへの解釈には『分かる!』と言いたくなるものばかりだった。なおかつ、聴覚障害者だからこそ有利に働く場面もあり、舞台設定は面白かった。本格ミステリとしてはロジックや証拠が甘いところがあるが、終盤の場面は聴覚障害者である著者でしか書き得ない圧巻の場面である。2026/09/14




