出版社内容情報
亡友の家で待っていたのは四季折々の草花と、ちょっと不思議な毎日でした。時は明治時代、文筆家・綿貫征四郎は、亡友の家の「家守」として暮らすことになった。待っていたのは白木蓮や都わすれ、萩、サザンカなど植物に満ちた庭。そして、サルスベリに懸想されたり、河童の衣を拾ったり、化狸を助けたりといった不思議な出来事が次々と起こり……。梨木香歩の傑作小説を近藤ようこが漫画化。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
28
原作の『家守綺譚』は綿貫の著述という形式を取っているので、地の文には綿貫の視点による主観的な描写と綿貫の胸中(モノローグ)が混在している。コミカライズするにあたって近藤ようこは、その地の文を解体するのだ。つまり、描写とモノローグに。描写は四角いフキダシで、モノローグは二重線の丸いフキダシといった具合に描き分ける。これもまた、漫画ならではの効用を知ってのことだろう。「本当かしらって思ったりもしたんです けれど だって 本当みたいに思えませんでしょう」(つづく)2025/10/05
まさ
23
綺譚の後半、上巻と比べて動きが出てくる下巻では、これまで何度読んでも拙い想像では判然としなかった部分が近藤ようこさんの絵のお陰ですっきりとなった。「葡萄」の章の綿貫の意思、高堂とは異なる人生の岐路の場面も、すーっと染み入ってきた。漫画版もこれから何度も読むと思うけど、近藤さん、続きの『冬虫夏草』もお願いできないかなぁ。2025/10/20
kayo
21
以前も書いたのですが最初に出てくる綿貫に懸想するサルスベリは私の中では壇蜜さんです。漫画の中では女性の絵となってはいませんけど、綿貫が他に気を取られるとヤキモチを妬く可愛いサルスベリ。狸に獺、狐。河童に小鬼は妖しくユーモラス。庭木に花々、山の自然は多くの不可思議をはらんでおり、畏れ多い。犬のゴローに隣のおかみさんや和尚さんも好ましく、此方側の綿貫と彼岸側の高堂も想像の姿にとても近くて、友人の村田までちょこっと登場して満足です。原作を再び手に取り、梨木さん近藤さんを行ったり来たりで楽しみます。2025/10/20
kuriko
1
小鬼がかわいい♡2025/10/05
psy
1
続いて下巻へ。犬のゴローちゃんが可愛くって賢くっていいですね。一緒にいてくれていいなあと。お隣のおかみさんがいろいろ差し入れしてくれるのも美味しそうで羨ましかたです。高堂さんはまたこちらに来られるのでしょか。綿貫さんは高堂さんのお話をしたためたのでしょか。続きの物語があるようですが、そちらも出来ればお願いしたく。近藤さんの次作もまた楽しみです。とりゃ得ず来月の原画展へ伺うことを楽しみに。2025/09/26